研究課題
本研究では、骨オルガノイドを用いて、個々の骨欠損部に応じたオーダーメイドの顎裂部骨閉鎖療法を確立することを最終的な目的として行った。顎裂部骨移植における課題点として、移植骨採取時の侵襲、口腔外力の影響、再生骨の性状などが挙げられ、それらを解決するには、口腔領域由来成分を利用した細胞移植が有効と考えた。エナメル蛋白の一種であるアメロゲニンは、硬組織誘導効果を持つ蛋白である。そこで、アメロゲニンの活性部位であるC末端側を持つ機能性アメロゲニンペプチドの硬組織誘導効果に着目し、様々な組織由来の未分化間葉系幹細胞における硬組織分化調節機構に及ぼす影響について解明し、その制御メカニズムを探索することを目的とした。まず、移植骨採取時の侵襲を軽減するため、顎裂部における細胞移植の有効性について評価を行った。骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)の移植の有効性は多々報告があるが、さらなる侵襲の軽減を求めて、乳歯歯髄由来間葉系幹細胞(SHED)を用いて研究を行った。SHEDは先行研究によりBMSCと比較して遜色ない骨再性能を有していたが、細胞採取量が少なく、それらの問題を克服するため、SHEDの表面抗原に着目し、骨再生に有用な表面抗原の同定を行った。SHED-CD146+をマウス頭蓋冠の骨欠損部に移植し、骨再生の評価を行ったところ、優位な骨再性能を有することが明らかとなった。また機能性アメロゲニンペプチドを様々な組織由来のMSCに作用させ、硬組織誘導効果について評価を行った。今後は、機能性アメロゲニンペプチドとSHEDの組み合わせの最適条件について検討を行う予定である。
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