研究課題/領域番号 |
19K10385
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
國松 亮 広島大学, 病院(歯), 講師 (40580915)
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研究分担者 |
谷本 幸太郎 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (20322240)
阿部 崇晴 広島大学, 病院(歯), 助教 (20806682)
廣瀬 尚人 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (50611935)
吉見 友希 広島大学, 病院(歯), 病院助教 (50707081)
柄 優至 広島大学, 病院(歯), 助教 (50737682)
堀江 佳代 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (50784253) [辞退]
中島 健吾 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (60823200) [辞退]
粟田 哲也 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (90758179)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レーザー / 疼痛緩和 / GFAP / IBA-1 |
研究実績の概要 |
今年度は、レーザー照射が歯周組織構成細胞の代謝能に及ぼす影響についてin vitroによる検討を行った。Er:YAGレーザー照射は、機械的刺激負荷時において、骨代謝関連遺伝子の発現を亢進させる事を解明した (Tsuka et al., Lasers Med Sci, 35(9); 2059-2064: 2020)。次にコールドレーザーが中枢神経系に及ぼす影響についてin vivoによる検討を行った。ラットの上顎左側第一臼歯から上顎門歯の間にNi-Ti クローズドコイルを装着し50 gの矯正力を付与し、これを実験的歯の移動モデル (ETM) とした。ETM処置後、コールドレーザー照射を行った群をETM+レーザー処置群とし、ETM装置を装着していない右側を対照群とした。評価方法としては、実験的歯の移動時に、口腔内痛覚を司る神経線維の投射する三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)に及ぼす影響について評価した。実験的な歯の移動群は、Vc領域において、慢性疼痛のマーカーである Glial Fibrillary Acidic Protein (GFAP)、および Ionized calcium binding adapter protein 1 (Iba-1) の発現を亢進することを明らかにした。そして、歯の移動によって亢進された GFAPおよびIba-1 は歯周組織へのコールドレーザー照射によって発現が有意に抑制されることを解明した。さらに、コールドレーザー照射が実験的歯の移動時における歯周組織に及ぼす影響について検討を行った。装置装着後24時間後にラットを灌流固定し、上顎骨を摘出し、第一臼歯の近心根圧迫側歯根膜領域におけるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)のタンパク質発現について免疫組織学的検討を行った。第一臼歯の近心根圧迫側歯根膜領域において、ETM群はETM装置装着前と比較して、CGRP発現のタンパク質発現の亢進が認められた。ETMによって増加したCGRPのタンパク質発現は、レーザー照射によって抑制が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、コールドレーザーが中枢神経系に及ぼす影響について検討を行い、概ね予想された結果が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
コールドレーザー照射が中枢神経系 (c-fos等) に及ぼす影響についてさらなる詳細な検討を行う。 そして、末梢である歯周組織において、コールドレーザー照射がIL-1bやCOX-2等の炎症性サイトカインに及ぼす影響について詳細な検討を行う。さらに、コールドレーザー照射が、実験的歯の移動によって生じた痛みについて侵害性受容行動であるFacial grooming行動について検証を行う。そして、得られた結果を英語論文に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が予定よりも順調に進行し、得られた結果を元に英語論文雑誌に投稿するため、投稿費を準備する必要があった。 また、予定よりも順調に研究計画が進んでいるため、次年度の研究を実施することとし、前倒し請求を行った。 現在、英語論文雑誌に投稿中であり、修正を実施している。そのため、当初予定していた投稿費が生じなかったことより、令和2年度の予算に余剰が生じた。 令和3年度としては、得られた結果より、現在投稿中の論文受理も目指して、追加実験を検証するとともに、レーザー照射が歯周組織の炎症マーカーに及ぼす影響について検証を実施し、2本目の論文投稿を行う。
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