研究課題/領域番号 |
19K10393
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
岡山 三紀 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (30382500)
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研究分担者 |
石井 久淑 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (00275489)
佐藤 寿哉 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (30709241)
斎藤 隆史 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40265070)
荒川 俊哉 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40306254)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 歯周組織 / メカニカルストレス / リゾリン脂質 |
研究実績の概要 |
ヒト抜去歯取り採取した歯根膜組織より、3サンプルの歯根膜線維芽細胞を追加ストックした。サンプル細胞のコントロール実験として歯根膜培養細胞にメカニカルストレスを負荷し、定量PCR法によって歯根膜マーカー等の遺伝子発現の変化を検討した。リゾリン脂質(LPA)の受容体の発現を確認した。 動物実験においては、ラット咀嚼筋には副交感性依存的な血管拡張線維が存在し、この線維を介した血管拡張作用は、急峻かつ広範囲におよぶ血流増加を誘発する。咀嚼筋を介した副交感性血管拡張作用が顎顔面領域の血流調節に重要であった。実験としてラット三叉神経刺激時の咬筋の血流動態と加齢変化ついて検討し、舌神経電気刺激による体幹血圧の上昇とともに咬筋に刺激頻度に依存する有意な血管拡張(血流増加)を誘発した。また、血管拡張に先行する血管収縮が生じ、二相性の反応が認められた。この血管収縮は、グアネチジン(アドレナリン枯渇性降圧薬)の前処理で消失した。老齢ラットの舌神経刺激(20 V、20 Hz、20 s)による咬筋の血管拡張は、若齢ラットに対して有意に減少した。血管拡張に先行する血管収縮は、若齢ラットよりも老齢ラットで有意に増大した。また、老齢ラットにおけるアセチルコリンの静脈内投与による血管拡張は、若齢ラットと比較して有意に低下していた。さらに、老齢ラットの咬筋のムスカリン受容体の発現量は若齢ラットよりも有意に低下していた。咀嚼筋の三叉神経入力を介する副交感性血管拡張は、加齢に伴い顕著に抑制されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全般としては研究内容は進展している。サンプルの予備分析は順調であるが、COVID-19の影響で抜歯処置の中止、延期により当初予定していたヒト培養歯根膜サンプル数を確保できなかった。動物実験においては、予備実験より副交感性血管拡張作用が顎顔面領域の血流調節に関与してることが確認され、予定していた以上に実験が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト培養歯根膜サンプル数を確保は、COVID-19が収束すれば確保は見込まれる。以前のストックした培養細胞用いて実験を進める。動物実験においては、予備実験を基に、副交感性血管拡張作用が局所歯周組織(歯根膜、歯肉)への影響を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学科発表および実験講習会に参加する予定であったが、COVID-19の影響により中止となったため予算を次年度に繰り越しとなった。
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