研究課題/領域番号 |
19K10397
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
北浦 英樹 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (60295087)
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研究分担者 |
溝口 到 東北大学, 歯学研究科, 教授 (20200032)
島 和弘 東北大学, 歯学研究科, 非常勤講師 (40792148) [辞退]
石田 匡彦 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (80770891) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高血圧 / 破骨細胞 / 骨吸収 / 歯の移動 / マウス |
研究実績の概要 |
近年、高齢化に伴い、歯科矯正領域においても高血圧を有する患者が増加してきている。この高血圧は骨粗鬆症性骨折のリスクとなると報告された。また、高血圧によって起こるレニン-アンジオテンシン系の亢進は、骨吸収を増加させることがわかった。そのため高血圧治療薬であるアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は、骨吸収を抑制することが報告された。矯正学的歯の移動では、破骨細胞が骨を吸収し歯が移動していく。これらのことから高血圧患者において、矯正学的歯の移動に影響が出ることが考えられる。本研究の目的は、高血圧および高血圧抑制剤の破骨細胞形成への影響およびメカニズムの解明、さらに矯正学的歯の移動への影響をin vitroおよびin vivoで解明することが目的である。現在までにマウス(C57BL6/J、8週齢雄)にLNAMEを飲用水にて2週間飲用させる。その後、2週間は、通常の飲用水に変える。その後、3週間は高塩分食を与え、高血圧マウスを作成することに成功した。高血圧マウスおよび正常マウスの頭蓋骨にLPSを注入し、頭蓋骨の組織切片より破骨細胞形成および骨吸収を評価した。正常マウスと比較して高血圧マウスは、破骨細胞形成および骨吸収が増加した。また、高血圧マウスの頭蓋部および血清中のTNF-αが増加した。さらに、AT1Rの発現が増加した。TNF-αが骨芽細胞に作用するとAT1Rの発現が増加をin vitroで見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスにおいて高血圧を誘導したという報告は少なく、一番難しいであろうと思われた高血圧マウスモデルが作成できた。この高血圧マウスおよび正常マウスの頭蓋骨にLPSを5日間連続で注入し、頭蓋骨の組織切片より破骨細胞形成および骨吸収を評価した。高血圧マウスおよび正常マウスの頭蓋骨の組織切片を作製した。その後TRAP染色を行い、破骨細胞数を測定し、評価した。また、骨吸収はマイクロCTを用いて撮影し、骨吸収を評価した。正常マウスと比較して高血圧マウスは、破骨細胞形成および骨吸収が増加した。さらに高血圧マウスではTNF-αの発現およびATR1の増加が見られた。TNF-αが骨芽細胞に作用し、ATR1が増加することを見出しており、メカニズムの解明のとっかかりができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、同様に高血圧マウスを作成し、高血圧マウスおよび正常マウスの頭蓋骨にLPSと同時にアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)やアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を5日間連続で注入し、頭蓋骨の組織切片を作製する。その後TRAP染色を行い、破骨細胞数を測定し、評価する。さらにマイクロCTを用いて撮影し、骨吸収を評価する。さらに、高血圧マウスで破骨細胞が増加する原因として骨芽細胞のATR1 が増加していることを見出したことから、骨芽細胞に対してのATR1刺激のシグナル伝達等を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定だったの試薬が海外発注で予定より発送に時間がかかるということで、期間内に購入できなかったため次年度使用額が生じた。購入は予定通りに行い使用する計画である。
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