研究課題
ゲノム解析の飛躍的発展により、先天異常疾患の遺伝情報の解明が進んでいる一方、先天異常疾患のフェノム(形態異常)の大部分はスペクトラム(連続形質)(例:つり上った眼、低い鼻、への字の口など)である1ために、主観的な表現に終始してしまい、客観的な評価法が未だ確立されていないのが現状である。また先天異常疾患の頻度は極めて低いため、実際に遭遇する機会は少なく、形態異常などの臨床症状を正確に把握できる医療従事者は極めて少ない。よって、その点からも先天異常疾患の形態異常に関する記述は曖昧で、正確でないことも多い。一方で、先天異常疾患の約70%は頭蓋顔面領域に形態異常を認め、疾患それぞれに特有の症状を呈していることが知られており、頭蓋顔面領域の形態異常情報を客観的つまり定量的に把握することは大変重要である。取得した先天異常疾患の三次元顔貌データから頭蓋顔面領域の三次元情報を解析し、疾患特有の形態異常を定量的に抽出すること、その情報から疾患特有の顔貌の識別法を開発すること、顔貌から臨床診断を行うことを目的とする。現在、当科に多数来院しているダウン症候群、ターナー症候群、鎖骨頭蓋異形成症などの先天異常疾患患者の三次元顔貌データの取得を行っており、それらの三次元顔貌データから、頭蓋顔面領域の三次元情報を解析している。
3: やや遅れている
コロナ禍において、全身的な疾患を有する先天異常疾患患者は来院が途絶える傾向にあり、データの取得が遅れている状況であるため。
ダウン症候群、ターナー症候群、鎖骨頭蓋異形成症などの先天異常疾患患者のデータ取得を可能な限り行ったのちに、疾患別の形態異常の定量的な特徴因子の抽出を行う。
コロナ禍で参加予定の学会が延期になったことや研究データの取得が遅れたことによる。
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Orthodontic Waves
巻: 80 ページ: 241-250
10.1080/13440241.2021.2002597