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2019 年度 実施状況報告書

エキソソームデリバリーsiRNAを用いた頭蓋骨縫合癒合症の治療法開発基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K10400
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

小林 起穂  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (20596233)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード頭蓋骨縫合癒合症 / アペール症候群 / siRNA / Fgfr2
研究実績の概要

エクソソームは、生体内のあらゆる細胞が分泌し血中を循環するナノ分泌顆粒である。癌をはじめとする様々な疾患のバイオマーカーとして注目を集める一方、生体に備わった分子輸送機構であり、新規ドラッグデリバリーシステム(DDS)の候補とされている。様々な核酸医薬のなかでも、低分子干渉RNA(siRNA)は標的配列に高い特異性を示すが、生体内での安定性が低く創薬研究が進まなかったが、2018年に世界初のPEGリポソーム輸送型siRNA医薬品が米国FDAで承認された。一方、頭蓋骨縫合癒合症を主徴とするアペール症候群は、FGFR2の機能獲得型点突然変異によるアミノ酸置換により発症する。本研究は、アペール症候群モデルマウス(Apマウス)点変異特異的siRNAをエクソソームにより輸送し、マウス頭蓋顎顔面縫合発生に対する影響をin vitroおよびin vivoにて解析することを目的としている。現在、Apマウス頭蓋骨縫合における様々な遺伝子発現異常の検索を行っているが、その中でも、Wnt/β-cateninシグナル経路において、受容体として機能するLrp5およびLrp6の遺伝子発現の上昇、β-cateninの活性化を確認した。Wnt/β-cateninシグナル経路は骨組織の成長や発生機構において重要な働きを担うことより、Fgfシグナルとのクロストークの存在が示唆され、縫合における新たな病態成立機構の解明と、治療ターゲット拡大への可能性を示した。また、Apマウス頭蓋冠状縫合由来培養細胞を用いてsiRNA-Lrp5およびsiRNA-Lrp6を用いてWnt/β-cateninシグナル伝達を阻害したところ、骨芽細胞分化を示すRunx2遺伝子の発現が抑制された。従って、Fgfr2の遺伝子変異のみならず、Wnt/β-cateninシグナルを抑制することで、Apマウスにおける骨芽細胞の分化異常をより効果的に阻害できることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在、Apマウス頭蓋骨縫合における様々な遺伝子発現異常の検索を行っているが、その中でも、Wnt/β-cateninシグナル経路において、受容体として機能するLrp5およびLrp6の遺伝子発現の上昇、β-cateninの活性化を確認した。また、Apマウス頭蓋冠状縫合由来培養細胞を用いてsiRNA-Lrp5およびsiRNA-Lrp6を用いてWnt/β-cateninシグナル伝達を阻害したところ、骨芽細胞分化を示すRunx2遺伝子の発現が抑制された。従って、Fgfr2の遺伝子変異のみならず、Wnt/β-cateninシグナルを抑制することで、Apマウスにおける骨芽細胞の分化異常をより効果的に阻害できることが示唆された。一方、siRNAのエキソソームへの内包(Ex-siRNAFgfr2S252W)およびin vitro細胞培養系におけるEx-siRNAFgfr2S252Wの機能解析については未完遂であるため。

今後の研究の推進方策

2020年度中には、siRNAのエキソソームへの内包(Ex-siRNAFgfr2S252W)およびin vitro細胞培養系におけるEx-siRNAFgfr2S252Wの機能解析を行い、in vitroマウス頭蓋骨器官培養系におけるEx-siRNAFgfr2S252Wの機能解析を形態学的に行う。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Craniofacial, oral, and cervical morphological characteristics in Japanese patients with Apert syndrome or Crouzon syndrome.2020

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Y, Ogura K, Hikita R, Tsuji M, Moriyama K.
    • 雑誌名

      Eur J Orthod.

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1093/ejo/cjaa015.

    • 査読あり
  • [学会発表] Aberrant Wnt/β-catenin Signaling in Coronal Sutures of Apert Mouse Model2020

    • 著者名/発表者名
      Min Swe Nay Myo, Kobayashi Yukiho, Kamimoto Hiroyuki, Moriyama Keiji
    • 学会等名
      2020 IADR/AADR/CADR General Session (Washington, D.C., USA)
    • 国際学会
  • [学会発表] 磁性制御型リポソームにより標的指向化されたリラキシンはラット正中蓋縫合拡大と骨形成を促進する2019

    • 著者名/発表者名
      紙本裕幸、小林起穂、森山啓司
    • 学会等名
      第84回口腔病学会学術大会
  • [学会発表] "Aberrant activation of Wnt/β-catenin signaling in the coronal sutures of an Apert syndrome mouse model"2019

    • 著者名/発表者名
      Minswe NM, Kobayashi Y, Kamimoto H, Moriyama K
    • 学会等名
      第78回日本矯正歯科学会学術大会
  • [学会発表] 井上貴裕、庄司あゆみ、小倉健司、狩野桜子、佐川夕季、小林起穂、辻美千子、松本力、森山啓司2019

    • 著者名/発表者名
      "トリーチャー・コリンズ症候群患者の下顎骨における antegonial notchの形態に関する検討 "
    • 学会等名
      第78回日本矯正歯科学会学術大会
  • [学会発表] "Hippo-Yap/Tazシグナル関連転写因子TEA domain family member 1 (Tead1)のマウス歯胚発生における発現解析"2019

    • 著者名/発表者名
      仁木佑紀、小林起穂、森山啓司
    • 学会等名
      第78回日本矯正歯科学会学術大会
  • [学会発表] Analysis of dentocraniofacial morphology in patients with achondroplasia2019

    • 著者名/発表者名
      Tsuji M, Shoji A, Hirabayashi K, Kobayashi Y, Moriyama K
    • 学会等名
      第59回日本先天異常学会・The 13th World Congress of International Cleft Lip and Palate oundation CLEFT 2019 ICPF合同学術集会
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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