研究実績の概要 |
生体内のあらゆる細胞が分泌し血中を循環するナノ分泌顆粒をエクソソームと呼ぶ。癌をはじめとする様々な疾患のバイオマーカーとして注目を集める一方、生体に備わった分子輸送機構であり、新規ドラッグデリバリーシステム(DDS)の候補とされている。様々な核酸医薬のなかでも、低分子干渉RNA(siRNA)は標的配列に高い特異性を示すが、生体内での安定性が低く創薬研究が進まなかったが、2018年に世界初のPEGリポソーム輸送型siRNA医薬品が米国FDAで承認された。一方、頭蓋骨縫合癒合症を主徴とするアペール症候群は、FGFR2の機能獲得型点突然変異によるアミノ酸置換により発症する。本研究は、アペール症候群モデルマウス点変異特異的siRNAをエクソソームにより輸送し、マウス頭蓋顎顔面縫合発生に対する影響をin vitroおよびin vivoにて解析することを目的とした。得られる結果は、広く先天性疾患を対象としたsiRNA創薬の発展へと波及することが期待される。エキソソーム-siRNAFgfr2S252Wの構築は、まずPureExo エキソソーム単離キットを用いてマウス血清からエキソソームを単離精製し、エキソソーム特異的バイオマーカー(CD9,CD63,CD44,Hsp70 )の発現をウェスタンブロット法にて確認した。蛍光標識させたマウスFgfr2エクソン7に存在する点変異特異的siRNAをエクソソーム内に導入し、培養細胞に作用させることで細胞質内に導入されることを確認した。胎生期(E15.5)野生型マウスおよび当分野で飼育中のcraniosynostosisを発症するApert症候群モデルマウス頭蓋冠縫合部を発生段階毎に摘出し、組織より骨芽細胞を分離培養し、現在エキソソームデリバーリーによる機能解析実験を行っている。
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