研究課題/領域番号 |
19K10403
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
谷川 千尋 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70423142)
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研究分担者 |
加藤 隆史 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50367520)
山城 隆 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70294428)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 睡眠 / 三次元形態 / 顔 / 気道 |
研究実績の概要 |
我々日本人は欧米人と比較して頭蓋底前後径が短いため,肥満に関連のない閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)発症者が多い.厚生労働省によると睡眠障害を有している日本人は約2300万人にも上る.睡眠障害は昼間の眠気による交通事故や脳血管障害・循環器疾患・うつ病などを引き起こす一つの要因であり,睡眠障害による日本の経済損失は年間5兆円(内閣府調査)とされ,現在,睡眠障害は日本が国を挙げて取り組むべき重要な課題である.一方,睡眠障害のリスク因子として下顎後方位による上気道狭窄が挙げられており,顎顔面骨格の成長のコントロールや顎顔面骨格形態の治療を担う矯正歯科分野が本課題で果たす役割は非常に大きい.矯正歯科治療により睡眠を改善するような潜在的患者を早期発見し,睡眠機能を考慮した矯正歯科治療計画立案を行うことが重要である.当院の調査によると少なくとも全人口の約0.8%(約100万人)が重度の下顎の後方位を示すことが推測された.しかしながら,呼吸機能を改善したり悪化を防いだりする目的で,矯正歯科治療の介入が必要かどうかに関する明らかな根拠は未だ存在しないため,下顎後方位を呈する者の中には,介入のないまま睡眠時呼吸機能を悪化させている場合や,睡眠時呼吸機能について考慮されないままにカムフラージュ治療を受けている場合がある.睡眠時の呼吸機能に関連する要因への早期の適切な医療介入は,将来の睡眠時呼吸機能の悪化とそれに伴う全身疾患の予防につながり,ひいては睡眠にかかわる社会的問題の解決につながることから,上気道と顎顔面骨格の三次元形態の変化が睡眠に与える変化を数理モデル化し,睡眠時呼吸機能の悪化・改善における矯正歯科治療の根拠を得ることを目的として,本年度,国際矯正歯科学会(IOC、2021年11月)にて気道の形態と顎顔面形態に関連があることを報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染対策のため、患者への機器の貸し出しに、中止時期があったため
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今後の研究の推進方策 |
現在、睡眠に関するデータを取得しつつあり、睡眠データと三次元気道形態、顔形態との関連性について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染対策に伴い、機器の貸し出しをいったん中止していたため. 次年度,機器の貸し出しを行い,データの取得を継続する.
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