近年、Evidence based Medicine (EBM)実践の重要性が高まっているものの、歯科は個人診療が主であることから大規模臨床研究が行われにくく、一般歯科診療の多くは限定的エビデンスに基づく。医科では、医療ビッグデータを用いた大規模臨床研究が盛んであり、治療効果、危険因子、予後予測、費用対効果等について多数のエビデンスが創出されている。一方、歯科の詳細情報を含む大規模データベースは世界にも存在しない。全国を網羅する歯科データベースの構築により、大規模な歯科臨床研究の飛躍的増加と歯科EBMの進展が見込まれているものの、その有用性や保持すべき情報は明らかでない。本研究の目的は、大規模歯科データベース構築の臨床研究への有益性を定量的に評価検討するとともに、その保持すべき規模や項目を明らかにすることである。 現在までに病院データを用いた、歯科病名、歯科診療行為の妥当性についての検討、歯科レセプトデータを用いた疫学研究の実施可能性について検討を行い、学会発表、論文公表を行ってきた。2022年度は公的データを用いて前年度のレセプトデータを用いた研究の再現性について検討を行った。2023年度はクリニックを含む歯科医療機関におけるレセプトの妥当性について評価を行い学会発表を行った。
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