研究課題
舌苔は口臭の主要な発生源である。舌苔は微生物、唾液タンパク質、食物残渣、口腔粘膜剥離上皮細胞、白血球などで構成され、嫌気的環境となる舌苔の深部では、嫌気性菌が増加し、口臭の原因となる揮発性硫化物やアンモニアを産生する。一方、舌は血管が多く、舌表面の血液は口腔内細菌に酸素や栄養を供給すると考えられ、舌苔を構成する細菌種やその堆積に影響すると考えられる。本研究では、舌表面と微小循環機能が舌苔の細菌構成および堆積に与える影響を調べ、さらに微小循環障害の原因を明らかにする。まず、舌の微小循環機能を測定する方法として、レーザードップラー血流計とレーザー組織血液酸素モニターを利用し、舌表面計測用プローブを作製し、一定の圧力で計測できるようにし、健康な成人男性約100名の舌表面と口唇の血流量と血中酸素濃度を調査した。次に、微小循環の変化を捉えるため、加熱式タバコの使用前後およびシャム喫煙前後の血流量及び酸素飽和度の変動を調べた。また、口腔内細菌の16S rRNA遺伝子配列に基づく高速シーケンス解析により舌苔の細菌叢と口臭との関係を調べ、論文にまとめた。口臭患者の舌苔検査では、舌苔堆積に関連が深いと考えられるカンジダの検出を行い、同時に舌の写真撮影を実施した。さらに、咬合力と口唇閉鎖力を計測することにより、舌苔堆積と口臭への影響を検討した。多角的に検討した結果、加熱式タバコの使用前後における血流量変化や、口臭に関係する舌の細菌叢と喫煙習慣の関係、口臭における咬合力と口唇閉鎖力の交互作用など、新しい知見を得ることができた。
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