研究実績の概要 |
本研究では,歯科技工士の社会実態を数量的に評価するために,歯科技工等の需要・供給に関する分析を行う.研究三年目(2021年度)は,歯科技工の供給状況に関する分析として,就業歯科技工士数の将来推計を行った. 方法は,大島らが過去に報告した分析方法に基づき,衛生行政報告例における就業歯科技工士数,歯科技工士国家試験合格者数等のデータを使用して分析を行った.まず,2006年・2016年,2008年・2018年および2010年・2020年の就業歯科技工士数(就業場所・性・年齢階級別)の数値を用いて,前記3組の継続就業率の平均値を求め,コーホート変化率法により,2030年における30歳以上の就業歯科技工士数の推計値を算出した.次に,歯科技工士国家試験合格者数等のデータを用いて,2030年における20~29歳の就業歯科技工士数の推計値を算出し,前記の30歳以上の推計値との和を求めた. 分析の結果,2030年の就業歯科技工士数は28,928~30,533人になることが予測された.すなわち,2030年における就業歯科技工士数は,直近公表値である2020年の就業歯科技工士数34,826人に対して約4,300~5,900人の減少が見込まれた. 今回の分析結果は,就業歯科技工士数の将来推計を行った過去の報告(2016年:34,640人→2026年:28,259~29,225人)に比べて,減少傾向が緩やかになっていることが示された.今後,この分析結果を踏まえて,歯科技工等の需要・供給の両面から,さらに分析を進めていく.
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