研究課題
歯科衛生士をめざす学生の喫煙状況,喫煙に対する認識を評価する加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND),加熱式タバコに対する認知度,認識度,喫煙歴,上下顎前歯部唇側の歯肉炎症(PM炎症指数)および歯肉メラニン色素沈着を2年間にわたり評価し検討した.対象は,2018年4月に入学した本学学生107名の内,条件を満たした100名(18.5 ± 0.7歳)である.喫煙者はなかったが,2018年11月時のみ,前喫煙者2名で,尿中コチニン濃度は検出限界以下であった.受動喫煙ありは,2018年4月時40.0%,11月時36.0%,2019年4月時36.0%とほぼ横ばい状態であった.尿中コチニン濃度から受動喫煙ありと判定した7名の内,質問票でも受動喫煙ありの者,2018年4月時2名,11月時4名,歯肉メラニン色素沈着がみられたのは3名であった.また,上下顎のPM炎症指数は,2018年4月時1.7 ± 0.4から,2019年4月時1.0±0.3と改善された(P < 0.05).一方,KTSND得点中央値は,2018年4月講義前11.0に比べ,講義後6.0と低下(P < 0.01)するも,2019年4月時11.0と増加していた(P < 0.01).さらに,加熱式タバコの認知度は,2018年4月時に比べて,2019年4月時では,アイコスは増加傾向,グローは,増加を示した.したがって,歯科衛生士をめざす女子学生では,KTSND得点が2018年4月時の講義後に比べ,2019年4月時には講義前の状態に戻っていたことから,繰り返しの脱タバコ講義が必要であると思われた.しかし,PM炎症指数が,2018年4月時に比べ,2019年4月時に上顎は改善傾向,上下顎は改善されたのは,歯科衛生教育の効果と考えた.今後,喫煙や受動喫煙と歯肉メラニン色素沈着との関係を,より詳細に検討していく必要があると考えた.
2: おおむね順調に進展している
2019年度愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科,名古屋市歯科医師会附属歯科衛生士専門学校,名古屋デンタル衛生士学院および名古屋医専歯科衛生学科に入学した歯科衛生士をめざす女子学生240名のベースライン時のデータの確認は順調に進めている.しかし,今年度は,新型コロナウイルス感染症の影響で,1年後のデータの回収が滞っている状態である.
2020年度には,愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科以外に,名古屋市歯科医師会附属歯科衛生士専門学校,名古屋デンタル衛生士学院および名古屋医専歯科衛生学科に入学した女子学生約200名を対象者として追加し,データを蓄積させていく.また,2019年の対象者の1年後となる2年生時,2年後となる3年生時のデータも前向きに蓄積させていく.同時に,1年生時の加熱式タバコ(heated tobacco products、HTPs)に対する認識や加濃式社会的ニコチン依存度(The Kano Test for Social Nicotine Dependence,KTSND)の変化を検討していく.
追加研究に必要なPC機器や卓上・ハンディ兼用型血流スコープBscan-Z(GOKO 映像機器株式会社)やその付属品にあてるため
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
Jpn Dent Sci Rev
巻: 55 ページ: 88-94
10.1016/j.jdsr.2019.03.002. Epub 2019 Apr 24.
デンタルハイジーン
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日歯周誌
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https://doi.org/10.2329/perio.61.159