研究課題/領域番号 |
19K10443
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
柳 文修 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50284071)
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研究分担者 |
岡田 俊輔 岡山大学, 大学病院, 助教 (00759681)
岡田 亜由美 岡山大学, 大学病院, 医員 (30812755)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 個人識別 / 口蓋形態 / 相同モデル / CT / 主成分分析 |
研究実績の概要 |
研究計画全体における2020年度の到達目標は、「立体像における頂点数(≒ポリゴン数)を検討し、最低ポリゴン数を決定する」、ことであった。複数の相同モデルを使用し、統計処理を行うことで、個体差を表現するための様々な成分が抽出されるが、一般に個体差への影響が大きな成分を用いることで識別能を向上させることができる。識別に有力な2つの成分を縦軸、横軸にした散布図上に個々の相同モデル化データをプロットすることで、個人識別への利用が可能となる。実用化を見据え、将来的なデータベースの構築を考慮すると、個人識別に耐えうる質を担保しながらデータの軽量化を図る必要があり、立体像における頂点の個数(≒ポリゴン数)を検討し、最低ポリゴン数を決定する必要がある。 具体的手順としては、以下のようなものであった。①CTデータ(DICOM)からSTLデータを作成し、②Mesh-Labを使用し、任意の頂点数でリメッシュし、③本申請課題でサブスクリプション購入しているHBM-Rugleを使用し、2019年度に確立させた手順(2.5次元(Zバッファ))にて、相同モデル化を行った。①のSTLデータをリメッシュする際の頂点数を調整することで、おおむね80万点程度の頂点数がデータ量と形態再現性のバランスが取れることが分かった。 当初予定していた骨表面からのテンプレート作成では、解剖学的構造に由来する小孔や厚みのない骨の描出不良によるテンプレート形態の不具合があり、STLデータを作成する際に、骨に軟部組織が薄く貼りつくような立体像を作成することで対応していた。相同モデル化を行う際には骨形態に直接フィットしていることも確認でき、投影方向をZ軸の1方向から、X軸まわりに±15度、Y軸まわりに±15度の計5方向から投影することで、口蓋大臼歯部分の側面でのフィットも非常に良好なものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題申請時に予定していたデータ加工手順に関し、テンプレート作成過程に若干の変更があったものの、これまでの到達目標である、3次元像表面性状の調整と専用テンプレート作成、相同モデル試作(2019年度)、至適ポリゴン数の検討(2020年度)については、おおむね計画どおりに進んでいるものと判断している。 研究を進めるうえで必要なソフトウェアの使用・習熟のための講習機会については、オンライン環境を整備することで対応可能としているが、実患者のデータを使用したデータ加工作業については、自施設内で行うことが必須条件であるため、新型コロナウイルス感染症対策に伴う各種制限、特に行動制限と入構制限により遅延が発生している状態である。
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今後の研究の推進方策 |
本申請課題のコア部分であるデータ加工・処理条件は確立しており、実用化にも耐え得るレベルに達していることから、研究目的の大部分は達成している。しかし、複数の相同モデルを作成し、照合精度を確認するという点においては、遅延している状態である。引き続き、各種制限が続く可能性が高いことから、今後の研究遂行のためには、研究実施場所の制限なく、研究を進めることが可能な環境整備が必要である。これには、倫理的配慮に加え、より徹底した情報管理が必要となる。このため、自施設内の情報・通信セキュリティポリシーを遵守しつつ、作業PCのデータレス化が可能かを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費の繰り越し理由としては、申請課題採択後、充足率66%に合わせて使用内訳を再考し、ソフトウェアのサブスクリプション利用期間と利用開始時期を調整した結果である。2019年度に購入予定としていたPC類はコロナ禍による一時的な需要増で納期が遅れたが、2020年度は予定通り購入できている。 旅費についても減額された予算内で遂行すべく調整を行っていた。しかし、研究開始時期から続く、国内外の移動制限により、情報収集と成果報告のための旅費が未使用のままとなっている。昨年度同様、次年度使用額が生じており、計画通りの執行とはかけ離れているが、不可抗力ともいえる理由に起因しており、他の無駄な用途への流用は行っていないことから、適正に使用できていると考える。本予算項目の執行については、新型コロナウイルス感染症対策が今後、どのように行われるが予測困難であり、計画が難しいところである。オンライン環境で懸念されるセキュリティ対策と一部作業のアウトソーシングを引き続き検討しており、これらの実施にも繰越金の一部を充てる予定である。
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