研究課題/領域番号 |
19K10444
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山中 玲子 岡山大学, 大学病院, 助教 (00379760)
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研究分担者 |
横井 彩 岡山大学, 大学病院, 医員 (00612649)
森田 学 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40157904)
丸山 貴之 岡山大学, 大学病院, 助教 (30580253)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食道がん / ガム咀嚼 / 摂食嚥下機能 / 咀嚼機能 / 周術期 |
研究実績の概要 |
本研究は,「胸部食道がん患者における周術期のガム咀嚼と舌圧との関連」を明らかにし、食道がん術後合併症予防に寄与する方策を歯科的に検討するものである。 科研申請時は、食道がん手術を受ける患者を対象に,術後絶食期間中に,従来の口腔衛生管理のみを行う「対照群」と,術後絶食中にガム咀嚼による口腔機能訓練を加えて行う「介入群」にランダムに割付け,2群間で比較して,食道がん術後絶食中のガム咀嚼による咀嚼機能や嚥下機能の維持効果,予後改善効果を検討するランダム化比較試験(必要症例数約70例)としていた。その後、具体的な研究方法について、倫理委員会、各科の医師・歯科医師、パラメディカル、統計専門家等と議論し、過去の我々の研究でえた結果を対照群とし、周術期にガム咀嚼を行う1群のみの介入研究とすることとなった。 我々の過去の研究では,食道がん術後2週間目に舌圧が低下した患者の割合は64.5%程度(38人/59人中)であったため,期待割合:40%,閾値割合:65%で計算すると,24症例で10人低下(41.7%)の場合,信頼区間は22.1%~63.3%で,両側p値=0.03,24症例で9人低下(37.5%)の場合,信頼区間は18.8%~59.4%で,両側p値=0.01となり,必要症例数は24例となった。また,過去の研究では,92名が参加して33名(35.9%)が同意撤回,中止,脱落したため,36%が脱落すると仮定し,その分も加味すると必要症例数は38例となる。今回,40例あれば,同意撤回,中止,脱落等が生じても,統計学的考察も可能と考えられるため,目標症例数は40例とした。 令和2年度は、上記の研究計画を倫理委員会に申請し承認をえて、対象患者の登録を開始した。現在、10例程度の患者を登録し介入を開始した。現状では、令和3年度中に、対象者の募集を終え、データの解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
想定よりも、研究計画の策定のための各科の医師・歯科医師、パラメディカル、統計専門家等との協議、倫理委員会への申請・承認に時間を要した。 また、COVID-19感染拡大による新しい研究の自粛、手術数制限等の影響もあり、想定以上に時間がかかっている。 しかし、諸々の事情をクリアし、無事に研究を開始し、当初よりも少ない症例数で研究を終了できる予定であることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
倫理委員会の承認までに、予定よりも時間がかかっているものの、研究開始前に十分に議論を尽くしていることで、当初の予定よりも、研究実施に必要な期間は短くなり、目標症例数も大幅に減少させることができた。 約1か月間で10症例/40症例(25%)の登録ができており、脱落者は想定よりも少なく、今のところ、一人もいない。 計画段階では、期待割合,閾値割合による計算から、必要症例数は24症例程度となったが、40%程度の対象患者の脱落を想定して40症例が必要とした。この調子で、脱落者が少なければ、対象患者の募集期間は更に短縮できそうである。 今後、更にCOVID-19の感染が拡大する可能性はあるが、感染管理に留意して、研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、世界的なCOVID-19感染拡大により、移動の自粛が求められている。学会などは、オンライン開催となり、旅費を使用する機会が減少していることが、次年度使用額が生じた理由と考えられる。 COVID-19が落ち着けば、学会等に積極的に参加し、旅費として使用する予定である。 その他、現在、総細菌数の評価のみとしているものを、次世代シークエンスを行い、更に詳しい解析のために使用する計画も検討している。
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