研究課題
本研究は,「胸部食道がん患者における周術期のガム咀嚼と舌圧との関連」を明らかにし、食道がん術後合併症予防に寄与する方策を歯科的に検討するものである。科研申請時は、食道がん手術を受ける患者を対象に,術後絶食期間中に,従来の口腔衛生管理のみを行う「対照群」と,術後絶食中にガム咀嚼による口腔機能訓練を加えて行う「介入群」にランダムに割付け,2群間で比較して,食道がん術後絶食中のガム咀嚼による咀嚼機能や嚥下機能の維持効果,予後改善効果を検討するランダム化比較試験(必要症例数約70例)としていた。その後、具体的な研究方法について、倫理委員会、各科の医師・歯科医師、パラメディカル、統計専門家等と議論し、過去の我々の研究でえた結果を対照群とし、周術期にガム咀嚼を行う1群のみの介入研究とすることとなった。我々の過去の研究では,食道がん術後2週間目に舌圧が低下した患者の割合は64.5%程度(38人/59人中)であったため,期待割合:40%,閾値割合:65%で計算すると,24症例で10人低下(41.7%)の場合,信頼区間は22.1%~63.3%で,両側p値=0.03,24症例で9人低下(37.5%)の場合,信頼区間は18.8%~59.4%で,両側p値=0.01となり,必要症例数は24例となった。また,過去の研究では,92名が参加して33名(35.9%)が同意撤回,中止,脱落したため,36%が脱落すると仮定し,その分も加味すると必要症例数は38例となる。今回,40例あれば,同意撤回,中止,脱落等が生じても,統計学的考察も可能と考えられるため,目標症例数は40例とした。令和3年度は、37症例を登録し、30症例が完了した。22症例を収集した時点で、中間解析を行ったところ、ガム咀嚼トレーニングを行った群では、有意に舌圧の低下を予防できたことを確認した。結果はがん口腔支持療法学会で発表した。令和4年度は、対象者40名の募集を終え、最終解析、学会発表を行った。
すべて 2022
すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)