研究課題/領域番号 |
19K10445
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
日野出 大輔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (70189801)
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研究分担者 |
河野 文昭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (60195120)
福井 誠 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (50325289)
吉岡 昌美 徳島文理大学, 保健福祉学部, 教授 (90243708)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 後期高齢者歯科健康診査 / 医療費 / 肺炎発症 / 口腔保健関連因子 / 定期歯科健診 / オーラルフレイル / 糖尿病 / 歯の残存 |
研究実績の概要 |
超高齢社会の日本において、要介護者数の抑制は喫緊の重要課題である。本研究では、観察研究として、経年的な後期高齢者歯科健康診査と国保データベースからのデータを突合した解析により、誤嚥性肺炎や要介護に至る口腔保健関連因子、更には医療費との関連性を調査すること目的とした。平成27-29年度の後期高齢者歯科健診受診者2139名を対象とした解析の結果、「1年以内の肺炎発症」は「飲み物でむせる」および「定期歯科健診なし」の要因と関連を認めた。口腔保健の要因と医療費・介護給付費との関連性を,年齢・性別を調整した偏相関分析にて調べた結果、口腔保健に関して「定期歯科健診」は「歯科医療費」と正の相関を,「介護給付費」との間に負の相関を認め、オーラルフレイル関連項目の「固い物が食べにくい」「飲み物でむせる」に関して,「両方当てはまる者」のアンケート項目では,「当てはまらない者」よりも医科医療費,歯科医療費,介護給付費,医療費・介護給付費のすべてにおいて、費用が有意に高かった。 一方、75歳の男女合計944人を対象とし、糖尿病が後期高齢者の口腔状態に及ぼす影響および糖尿病と医療費との関連性を解析した. 3年間の横断調査から,糖尿病群(糖尿病治療中:136名)は対照群(非治療者:808名)より現在歯数が少なく,20歯以上の保有者率が低い結果となった.有歯顎者では糖尿病群においてCPI(歯周ポケット)スコアが高かった.また,糖尿病群は対照群と比較して医療費が高額であった.糖尿病の罹患は,後期高齢者の歯の残存および歯周状態に影響を及ぼし,また医療費の高額化にも関連することが明らかとなった. 肺炎予防や社会保障費削減のためにも,定期歯科健診やオーラルフレイル対策の啓発活動に加えて糖尿病予防などの推進が重要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
後期高齢者歯科健診受診者2139名を対象とした横断調査結果の解析に加え、糖尿病治療中の75歳高齢者944人を対象とした解析から、糖尿病高齢者の口腔状態の特徴を見出すことができた。また、オーラルフレイル対策としての介入研究も開始している。 このように、2019年度の研究実施計画に沿った内容の研究が遂行できている。
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今後の研究の推進方策 |
後期高齢者歯科健康診査のデータを蓄積して横断研究を継続実施するとともに、定期歯科健診やオーラルフレイル指標と要介護状態発生状況との関連性を、ベースライン時からの縦断研究として分析する。 また、モデル事業として、後期高齢者へのオーラルフレイル対策としての健口体操などを含めた多職種連携によるコモンリスクファクターアプローチを展開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、疫学研究の遂行において予定していた研究補佐員の雇用を令和2年1月より見合わせたため、謝金等において未使用経費が生じ、次年度使用額が発生した。 令和2年度は、雇用する研究補佐員を増員して疫学研究を遂行する予定であり、次年度使用額はこの経費に充当する予定である。
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