研究課題/領域番号 |
19K10446
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹内 研時 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10712680)
|
研究分担者 |
松元 幸一郎 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60325462)
古田 美智子 九州大学, 歯学研究院, 講師 (20509591)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | COPD / 1秒量 / 1秒率 / 受動喫煙 / 歯周病 |
研究実績の概要 |
平均的な日本人集団である福岡県粕屋郡の久山町民の内、2012年の40歳以上の全成人を対象とした一斉健診を受診した者の中で、2017年まで追跡が完了した5年コホート集団1509名を対象に、2012年時点の歯周病の重症度別でCOPDの新規発症リスクを検討した。 2012年の健診時に米国国民栄養調査の調査基準に従って実施された歯周組織検査のデータより、ポケット深さ(PPD)とアタッチメントロス(CAL)の値を用い、米国疾病予防管理センター(CDC)と米国歯周病学会(AAP)のワーキンググループによって2007年に提案(2012年に修正)された定義に基づき、歯周病の重症度を、健全もしくは軽度(1,118名)・中等度(286名)・重度(105名)の3段階で評価を行った。 追跡期間におけるCOPDの診断は、日本呼吸器学会による「COPD診断と治療のためのガイドライン2018(第5版)」に基づき、気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーで1秒率(FEV1/FVC)70%未満をCOPDと判定し、鑑別診断で喘息既往者については除外した。 多変量ポアソン回帰分析にて、性別や年齢、職業、糖尿病の既往、喫煙(Brinkman Index)、飲酒、運動習慣といった共変量を調整した解析を行った結果、歯周病の重症度が高くなるほどCOPD発症リスクが高くなることが示された(傾向性P値=0.042)。特に、歯周病の重症度が健全もしくは軽度な者に比べて、重度の者は5年後のCOPD発症リスクが2.9倍(95%信頼区間: 0.95-8.55)高いことが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定であった2012年から2017年にかけて追跡が完了した5年コホート集団を対象とした、歯周病の重症度とCOPDの新規発症割合の関連の分析が完了した。一方、唾液中のコチニン濃度の定量化については、検討中である。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は唾液中のコチニン濃度の定量化を進めると伴に、歯周病の重症度によってCOPDの病態の進行度が変わるかを検討するための10年コホート集団のデータセット構築を予定する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
既に採取・補完済みの唾液検体を用いたコチニン濃度測定を次年度本格化する予定で、次年度使用額が生じた。次年度は持ち越した助成金を考慮し、コチニン濃度測定のための試薬等を購入する予定である。
|