研究課題/領域番号 |
19K10454
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
三辺 正人 神奈川歯科大学, その他部局等, 特任教授 (60148004)
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研究分担者 |
両角 俊哉 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (20444151)
中島 淳 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (30326037)
結束 貴臣 横浜市立大学, 附属病院, 講師 (30738620)
宮内 睦美 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50169265)
山本 裕子 神奈川歯科大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60756568)
鎌田 要平 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 助教 (80385070)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 非アルコール性脂肪性肝炎由来肝がん / 歯周病 / 歯周病原細菌 / 腸内細菌叢 / 唾液 / IgA |
研究実績の概要 |
今年度は昨年度に引き続き、横浜市立大学口腔外科にて、NASH(非アルコール脂肪性肝炎)とNASH由来肝がんの被験者の歯周病に関するデータと内科的データ、腸内細菌と口腔内細菌に関するデータサンプリングを行った。NASH患者60名、NASH由来肝がん患者25名でサンプリングは終了とした。 データ解析を行ったところ、2群の歯周病態は同程度であったが、NASH由来肝がん群における唾液中P. gingivalisとF. nucleatumの比率は高く、それらに交叉する血清抗体価も高値であった。NASH群と比較して、NASH由来肝がん群の唾液中IgA濃度と分泌速度は低値であった。また,唾液中F. nucleatum比率と唾液中IgA分泌速度は負の相関を示した。F. nucleatumは,Prevotella属同様グラム陰性の歯周病原細菌であり、唾液中IgAがその割合を制御している可能性がある。したがって、NASH由来肝がん群における唾液中F. nucleatum比率の高値と唾液中IgA分泌速度の低値は関連していたと考えられる。すなわち、NASH由来肝がん群では唾液中IgA分泌速度が低下したことにより歯周病原細菌であるF. nucleatumが口腔内で増加し、そのことがNASHから肝細胞がんへの進行の一つの因子であったかもしれない。以上のことから、口腔内のP. gingivalisとF. nucleatumがNASHからNASH由来肝がんへの進行に関与していることが示唆された。とりわけ,F. nucleatumは唾液中IgA分泌速度と関連している可能性があることが判明した。ここまでの解析結果をまとめ、歯周病学会で発表を行い、英語論文を執筆し出版された。 今後は被験者の腸内細菌の状態と歯周病や唾液中IgAレベルに関する解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度までにサンプリングを終了し、腸内細菌叢と歯周病の関連までデータ解析を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、横浜市立大学口腔外科外来でのサンプリングを行うことが不可能な時期が続いたため。また、NASH由来肝がんの被験者に該当する患者が少なく、サンプリングが難航したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は被験者の腸内細菌の状態と歯周病や唾液中IgAレベルに関する解析を進める予定である。8月中に結果を考察し、今年度中に英語論文にまとめて投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、NASH患者とNASH由来肝がん患者の腸内細菌叢と歯周病および唾液中IgAレベルに関するデータをまとめた英語論文を投稿することができなかったため。
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