研究課題/領域番号 |
19K10456
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
真下 千穂 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80368159)
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研究分担者 |
沖永 敏則 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60582773)
南部 隆之 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80367903)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 口腔細菌叢 / メタゲノム解析 / 口腔健康 / 口腔菌叢バランス / ゲノム解析 |
研究実績の概要 |
近年の研究成果により、う蝕・歯周病の原因菌とされている特定の細菌を除去するだけでは健康口腔の維持は難しく、むしろ口腔内全体における菌叢バランスがより重要であることがわかってきた。 本研究の目的は、菌叢全体の変動に与える因子および共生状態における個々の細菌の役割を明らかにしていくことである。上記の研究内容を実行・推進するために、我々は独自に構築した口腔菌叢を維持したままで培養できるモデル実験系[細胞レベル]と細菌叢を網羅的に解析する次世代シークエンス[遺伝子レベル]を組み合わせた新たな評価方法を用いて、口腔菌叢バランスに影響を与える因子の抽出を行っている。 令和元年度は、口腔に添加することが可能な材料(化合物)で、かつ安全性が認められているものを選出し、口腔に投与された場合の濃度を想定し、口腔細菌叢に対する影響(抗菌効果など)を評価している途中段階である。ヒトの生理状態で口腔に添加された材料は、かなり低濃度で口腔内に存在していると考えられる。このような低濃度の条件でも、口腔細菌叢に影響を与える材料を選出し、ひとつのモデル実験系を構築することは、本研究を遂行する最初のステップとして最も重要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の研究進展の方向性は、口腔細菌叢バランスに影響を与える外的因子(口腔に添加できる材料)の選出であった。外的因子として、いくつかの候補を挙げ、口腔細菌株への影響を評価し、その結果を基にして、最終的には口腔細菌叢を変動させる因子として研究に使う予定であった。しかし、抗菌活性がほとんど認められない、化合物の純度が低いなど想定外の状況が発生し、実験条件の見直しなどに時間を要した。現在も、口腔細菌叢バランス変動をモニターできるモデル実験系に適した材料の選定を行っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度から引き続き、以下の研究の方向性で進めていく予定である。 1.これまでの多くの研究では、口腔に添加できる化合物がヒトが日常摂取する生理的濃度よりはるかに高い濃度で使用された条件で評価されている場合が多い。そこで、ヒトの生理状態に近い条件でモニターできる実験系を用いて、低濃度環境における口腔細菌叢バランスの微細な変動を詳細に解析していく。そのために、最も適した材料を選出し、ひとつのモデル実験系を構築していく。令和2年度で選出した材料を用いて、口腔細菌叢の変化をメタゲノム解析により明らかにしていく。 2.1.で得られた結果より、細菌種間の関り(ネットワーク)を明らかにしていく。 3.2.で得られた種間の関係性を遺伝子レベルで明らかにしていく。このために、ゲノム遺伝子の解析を行い、特定の遺伝子ノックアウト株を作製することにより証明していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)メタゲノム解析を計上していたが、令和元年度では予定額まで使用できなかった。 (使用計画)令和2年度のメタゲノム解析費用として使用する予定である。
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