研究分担者 |
尾崎 悦子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00438219)
松井 大輔 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20613566)
小山 晃英 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40711362)
栗山 長門 静岡社会健康医学大学院大学, 社会健康医学研究科, 教授 (60405264)
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研究実績の概要 |
J-MICC study京都フィールド6,450人のコホート集団の60.7%に相当する3,915人(男1,402人、女2,513人、年齢39歳~75歳)が本研究の対象者集団である。この集団に対して2013年11月~2017年12月に一次調査を、2019年7月~2020年1月にかけて二次調査をいずれも主に臨床症状に基づいた過敏性腸症候群(IBS)の診断の国際基準である「Rome Ⅲ」日本語版質問紙票を用いて行った。2回とも回答したのは3,215人(男1,132人、女2,083人)で、回答率は82.1%であった。なお、一次調査時に歯科医師による口腔内衛生状態の情報収集も行い、無歯顎の男性2人、女性1人は解析から除外した。 一次調査でのIBS非有病者における二次調査でのIBS発生者男106人、女220人と非発生者であるコントロール群男性208人、女性471人についてのコホート内症例・対照研究を実施した。残存歯数(20歯以上に対する19歯以下)、最大咬合力(354kN以上に対する354kN未満)、固いものが噛みにくいこと(いいえに対するはい)、Community Periodontal Index;CPI(地域歯周疾患指数)0~2に対する3・4について男女別にIBSのリスクとして年齢調整オッズ比とその95%信頼区間を求めたところ男性のCPIのみ統計学的に有意(年齢調整オッズ比(95%信頼区間):1.76 (1.17- 2.64)、p=0.007)であった。すなわち、男性においては歯周疾患を有することが過敏性腸症候群の発生を統計学的に有意に1.76倍高めていた。従って、胃の上位にある口腔内の衛生状況の悪化が胃・大腸反射に変調をきたし、胃に食物が入ると、その刺激が脳に伝わり脳から腸に信号が送られて腸全体がぜん動運動を始めることができず、過敏性腸症候群が発生するということが推定された。
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