研究課題/領域番号 |
19K10470
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 武則 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (40638904)
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研究分担者 |
浜田 信城 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20247315)
渡辺 清子 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (70148021)
合田 征司 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (70351476)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歯周病 / 免疫 / サイトカイン / 歯槽骨吸収抑制 / 歯学 |
研究実績の概要 |
歯周炎の進行に Porphyromonas gingivalis に代表される歯周病原細菌が産生する病原因子に対する宿主の免疫応答が重要な役割を果たしていることが明らかにされている。近年、免疫担当細胞であるヘルパーT 細胞 (Th 細胞) の骨吸収誘導能が注目され、骨吸収を促進させることが報告されている。 本研究は、Th17 細胞が産生する炎症性サイトカインを抑制し、宿主の免疫力を活性化による感染歯周組織の改善効果を期待する目的で進めている。そこでまず Th17 細胞表面に結合可能な抗体を実験動物に経日的に腹腔内投与後、さらに歯周病原細菌 P. gingivalis を用いて経口感染を行ない、歯槽骨吸収抑制効果について検討を行なうこととした。令和元年度は、マウス実験的歯周炎モデルを用いて、歯槽骨吸収抑制効果を検討した。すなわち、実験開始直後から最終日まで、Th17 細胞の産生するサイトカインに対する特異的抗体を経日的にマウス腹腔内に投与し、さらに遠心集菌して調整したP. gingivalis 菌液をマウスに動物経口用ゾンデを用いて感染させて実験的歯周炎を誘導した。実験開始から30日後に上顎骨を摘出し、軟組織を除去後、上顎頬側臼歯部のセメント・エナメル境から歯槽骨頂までの距離を骨吸収量として実体顕微鏡下で測定した。 その結果、腹腔内投与した抗体濃度での骨吸収抑制効果は、想定された結果よりも低いものの、継続した特異的抗体投与によりP. gingivalis の感染抑制が期待できると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた濃度で特異的抗体をマウス実験的歯周炎モデルに対して作用させた結果、効果的な骨吸収抑制効果が得られなかった。現在、特異的抗体の有効濃度について詳細に検討しているため、時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
サイトカインに対する抗体の最適な濃度を早急に決定する必要性があるため、動物感染モデルを用いて骨吸収抑制効果を示す特異的抗体の有効濃度を評価する。得られた結果をもとに培養細胞を用いたサイトカインの発現抑制や破骨細胞分化誘導への影響について、さらに検討を加えていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
標的とするサイトカインに対する抗体の最適な濃度を早急に決定する必要性があるため、抗体や実験動物、実験に必要な試薬類およびプラスチック製やガラス製の実験器具の購入に充てる。また培養細胞を用いた実験を行っていくため、細胞培養に必要な試薬や栄養素、実験器具の費用にも充てていく。研究進行に合わせて必要に応じて研究費を執行した結果、当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、立案した計画どおりに実験を進めていく。
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