研究課題/領域番号 |
19K10473
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 一也 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (10236268)
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研究分担者 |
沖永 敏則 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60582773)
南部 隆之 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80367903)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 細菌叢 / 高齢者 / 舌苔 |
研究実績の概要 |
高齢者の誤嚥性肺炎発症リスクの低下を目指し多面的な研究が並行して進められてきている中で,高齢者の舌菌叢が大きく2つのタイプに分けられること,タイプ間で肺炎関連死のリスクが有意に異なることが分かってきた.本研究では,我々が構築した菌叢構成を維持したまま培養可能な口腔の菌叢培養モデルと次世代シークエンス技術を組み合わせることで,舌菌叢のタイプを健康型へと遷移させる方法や添加物をヒト介入試験をすることなく探索することを目指す.初年度は,成人(中年期以前)舌苔を用いた菌叢遷移条件の検討(N=4)を行い,解析パイプラインの構築を完了させた.2年目の会計年度は,成人(中年期以前)舌苔を用い,pHと酸素濃度が舌苔菌叢に与える影響を解析した. 同意の得られた口腔健常者(う蝕や歯周病をもたない若年成人.N=10)より,歯間プラークと舌苔を採取し,pH(5.5~8.0まで0.5刻み)と酸素濃度(0~20%)を変動させ,特殊な培地で20時間振盪培養した.16S rRNA遺伝子のV3-V4領域を増幅し,次世代シークエンサーMiSeq(Illumina)にて塩基配列の解読を完了した.本講座で構築しているRスクリプトのワークフローを使用することで配列情報の統計解析を行い,影響を与える条件の抽出を行っているところである.現在,pHと酸素濃度それぞれの実験で,細菌叢が大きく変化することを確認しており,その変化が統計的有意であれば,高齢者サンプルを用いた解析に取り掛かる予定にしている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多少の実験の前後はあるが,おおむね当初の計画通りに実験が進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析で得られた結果をもとに,次の研究を進める. 1.成人(中年期以前)舌苔を用いた菌叢遷移条件の検討(メチルグリオキサール,カテキン,イソプロピルメチルフェノールなどを使用) 2.高齢者舌苔を用いた菌叢遷移条件の検討(まずは人数を絞り,中年期以前の成人で得られた効果が高齢者の舌苔でも同様の傾向を示すのかを確認する)
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症による大学への出勤自粛,サンプリング時期の遅れにより,次世代シークエンサー(MiSeq)での解析開始が遅れたため,研究費の次年度使用が生じた.令和3年度も不透明な部分あるが,研究計画の挽回が難しい場合,研究期間の延長も検討する.
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