本研究では、災害拠点病院・非災害拠点病院問わず全病院で使用可能なWEB版BCM (Business Continuity Management: 事業継続マネジメント)診断・支援ツールの新規開発を目指し、日本全国の病院BCP (Business Continuity Plan: 事業継続計画)策定状況の横断的調査、病院機能・病院種別のBCP・BCM基本構成要素の統計学的解析、病院BCP策定・BCM活動を容易に診断・支援できるWEB版ツールを開発等に関して研究を進めた。 令和3年度は豪雨水害に対する病院BCPにGIS的視点を加味して分析し病院事業継続に資する対応策に関して研究を進めた。国内の災害拠点病院761病院中221病院(29.0%)が洪水浸水想定区域内に立地し、また非災害拠点病院においては7382病院中2044病院(27.7%)が洪水浸水想定区域内に立地していた。国交省データには二級河川及び内水氾濫の浸水域が加味されておらず浸水リスクを抱える病院数はさらに多くなると考えられた。令和2年度のBCPに関する歴史的地理的レビュー論文「Scoping Review of Hospital Business Continuity Plans to Validate the Improvement after the 2011 Great East Japan Earthquake and Tsunami」(Tohoku J. Exp. Med.掲載)から、国内外で策定される病院BCPの想定ハザードには地域特有の災害事象が想定されており地域差があることも判明した。災害拠点病院・非災害拠点病院問わず、改めて各病院が自院を取り囲むハザードに関して再評価する必要が明らかとなった。 研究期間を通じ病院BCP/BCMに関する論文2編発表、解説1編執筆、全国学会における招待講演を3回行った。
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