冠動脈血行再建の費用対効果評価ならびに必要な基盤データ整備 虚血性心疾患に対する薬物治療、カテーテル治療(FFRガイドの有無)、冠動脈バイパス術のネットワークメタアナリシスを行い、International Heart Journalに掲載した。費用対効果評価の際に、臨床効果を正確に推定することは極めて重要である。ネットワークメタアナリシスを行うことで、治療効果を多面的に検討することができた。また、透析患者に対する薬剤溶出性バルーン(DCB)の費用対効果分析に向けて、DCBの臨床効果につき後ろ向き研究を行い、International Heart Journalに掲載した。さらに、安定狭心症および急性冠症候群に対するPCIの費用対効果評価を行い、Circulation Jounalに掲載した。PCIは循環器領域で広く実施されている手技であり、その費用対効果評価を行ったことは、日本の臨床現場に費用対効果の考えを広めるうえで重要であった。本研究の内容は、心血管インターベンション学会総会のシンポジウムでも発表を行い、循環器学会員に対して広く啓蒙活動を行った。 肺血栓塞栓症に対するバルーン拡張術の費用対効果評価に必要なデータ整備 慢性肺血栓塞栓症患者に対するバルーン拡張術(BPA)の費用対効果分析を行うために、BPA前後のQOLを評価し、Journal of Cardiologyに掲載した。また、慢性肺血栓塞栓症患者に対するBPAの治療効果を外科手術(血栓内膜摘除術)と比較し、Journal of Cardiologyに掲載した。BPAの治療効果をEQ5Dに評価した報告はこれまでなく、外科手術と比較したBPAの治療効果もこれまで報告されていない。BPAの費用対効果評価を行うために重要なデータを整備した。
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