研究課題/領域番号 |
19K10480
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
種市 尋宙 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (60565050)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | vaccine hesitancy / ワクチン / 予防接種 / 相談会 / 保健師 / 小児科医 |
研究実績の概要 |
2020年度は医療者のVaccine Hesitancy(VH)に関して、評価を進めている。すでに出版されている医療関係者によるワクチン懐疑論の文献的評価(医学的検証)を進行中である。<方法>大手検索サイトにおいて、「ワクチン」「予防接種」のキーワードで検索した。タイトルおよび内容から予防接種へ批判的、否定的な内容のものを検索し、販売や評価が上位に出てきた5冊を選択した。それらの著者背景や記載内容についてワクチンに関する論点を分類し、それぞれを評価した。<結果>著者の背景は様々であったが、近年は医師の書籍が増加していた。検索サイトにおけるおすすめ評価として5点満点中平均4点を示していた。論点に関して、子宮頸がんワクチン問題、MMRワクチンと自閉症の関連性、製薬会社と医師の癒着、自然派志向などが多くの書籍で共通して表現されていた。共通していた点は、現代医学への批判的表現であったが、子どもたちを守りたいという表現も同様に多くの書籍に認めた。この点は大事にしていくべき点である。すでに医学的に明確に否定されている部分もあるが、今回認めた共通点に対する医学的評価の整理を進めていく。 2020年度は新型コロナウイルス感染症により、毎月開催していた相談会開催を中止せざるを得ない状況となった。Web開催の検討も行った。利点としては、感染対策の必要性がない、家族が容易に参加できるなどが挙げられたが、最大の問題点はフェイストゥフェイスではないということである。本来、VHの問題は相互の信頼関係にもとづいて解決すべきであるという研究理念があった。それに反する対応となってしまい、意思疎通が難しいと考えられた。しかし、感染状況の改善が見られない状態が続いており、2021年度は1度開催してみる方向で検討している。また同時に現地開催の準備も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、直接集まって開催する相談会が出来なくなっている。会場となる公共施設では、当初より閉鎖が余儀なくされている。現在、少人数での開催が許可され、再開を検討している。相談会以外については、順次研究計画に沿って進めている。特に書籍の解析によって、多くの共通点を見いだし、今後の対応に向けて進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍が研究の進行を止めた半面、新たな研究機会の創出も行った。全世界中で新型コロナウイルスに対するワクチンの開発とその接種が行われている。従来からワクチンに対して疑念を持っていた人以外の国民もこのワクチンに対して疑念を抱いた状況が生まれている。いわば国民総Vaccine Hesitancyである。これらにおける心理状況の評価や公共に出される情報の受け取り方など、本研究に参考となる内容が多く包含されている。 さらにワクチンの種類における国民感情の違いや国産に対する思いなどわが国独自のワクチンに対する認識が見えているため、それらを形にしていくことを検討している。 従来の研究計画も順次遂行すべく、「ワクチン俗説・疑念対応マニュアル」を軸としたコンテンツを作成、確立することを進めていく。多くの小児科医にとってワクチンの副反応に対する理解は難しい状況があり、簡単に伝えるコンテンツを作成していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症により多くの学会が中止またはオンライン開催となり、旅費の支出が大きく減った。また、相談会の開催も中止となったため、使用計画に変更が生じた。2021年度は新たなアンケート調査なども検討しており、随時執行していく予定である。
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