糖尿病患者の予後調査として2004年に第一次コホートを2014年に第二次コホートを立ち上げ、研究計画書(H30.10.28版)の追跡日程スケジュール(資料1)に従い追跡観察中である。観察開始時のコホートの比較解析は、既にJDDM46として発表した(BMJ Open Diab Res Care 2018)。この追跡調査により、時代に伴う予後の推移とリスクの解析に関し、糖尿病性腎臓病(DKD)の概念から解析と発表を継続中である。DKDの概念とは、アルブミン尿増加の有無と腎機能低下の有無から見て、糖尿病患者に伴う腎障害の臨床と研究へアプローチをして行く考え方である。アルブミン尿増加の有無と腎機能低下の有無から4群のphenotypeに分類して、生命予後、心血管イベント発症予後、腎機能予後の比較解析を行った。この結果を論文JDDM54として米国糖尿病学会誌へ発表した(Diabetes Care 2020:43:1102-1110)。さらに2021年6月に日本腎臓病学会シンポジウムにおいて、JDDM54 study over viewとして糖尿病における心腎関連-最新知見が語る真実とは-として発表した。また2021年10月に第36回日本糖尿病合併症学会 シンポジウムにおいて、日本における糖尿病および腎症の現状と予後(JDDM研究の結果より)を発表した。これらの発表を通して、正常アルブミン尿腎機能低下群は、対照群(DKD無しで正常アルブミン尿腎機能正常群)と比較して、死亡・心血管疾患発症のリスク及び腎機能低下速度は同等であり、アルブミン尿高値群(腎機能正常群・低下群を含め)に比べて良好であることを示した。現在まで、大規模多施設共同研究に基づく糖尿病患者の10年に及ぶ追跡調査は我が国には存在しなかったので、本コホート研究から得られたエビデンスの意義は大きいと考えられる。
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