研究課題/領域番号 |
19K10490
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
柿沼 倫弘 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (40632245)
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研究分担者 |
藤田 貴昭 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50735636)
大夛賀 政昭 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (90619115) [辞退]
岩本 哲哉 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (40782412)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / rt-PA / 転帰 / 指標 / 地域医療構想 / 地域包括ケアシステム / 要介護度 / 介護サービス |
研究実績の概要 |
2023年度は、本研究の最終年度として、t-PAの処方群と非処方群の患者について急性期病院を退院後の経路に着目した分析を試みた。特に、急性期病院を退院した回復期リハビリテーション病院における要介護度別の介護サービス利用状況に着目した。 急性期病院の退院後の経路の分析については、t-PA処方群(n=193)では転院(リハビリテーション目的、合併症等)が最も多く、52.3%と過半数を占めた。t-PA非処方群(n=1589)では、自宅が最も多く64.3%であった。しかし、この結果は全体を示したものであるため、確定した脳卒中の病型分類別等の層別の分析を今後実施する必要がある。t-PA非処方群には、そもそもt-PAの処方の適用とならない軽度な患者が多く含まれている可能性が非常に高いためである。 急性期病院を退院した後の回復期リハビリテーション病院における患者の要介護度別介護サービスの利用状況については、一部を把握することができたが、小数のサンプルサイズでもより精微な分析をするための検討を進めていく必要がある。 本研究の成果の一つとして、t-PAが脳梗塞患者の中期的な機能的自立に与える効果を明らかにすることができた。t-PAの処方群の患者は非処方群よりも回復期病院に転院時のFIMの合計点は有意に高いこと、回復期リハビリテーション病院退院時にはリハビリテーションの効果により差が小さくなるもののt-PA処方群の方がFIMの合計点が高い傾向にあることが判明した。中期的な機能的自立について検証することは、潜在的な患者、患者にとっての退院後の生活を考えるための意識の啓発のみではなく、医療従事者がリハビリテーションの効果、地域の医療提供体制を考えていくうえでも意義がある。
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