研究実績の概要 |
天理よろづ相談所病院、内分泌内科に通院する糖尿病患者を対象として、2009年から約4000名の大規模レジストリを作成している。本年度は、2019年度の患者調査を行い、検査データ、薬剤データを医療情報部から取得し、データセットを作成した。2009年からのデータと統合し、本年度は糖尿病患者の生命予後との関連、特にうつ症状(depressive symptoms [DS])、糖尿病関連の心理的負担感(diabetes distress [DD])と総死亡との関連について検討を行った。うつ症状の評価にはCES-D(The Center for Epidemiologic Studies Depression Scale) を用い、糖尿病関連の心理的負担感の測定にはPAID(Problem Areas in Diabetes)調査票を用いた。対象者をベースラインの調査結果によりDS(-)/DD(-)、DS(+)/DD(-)、DS(-)/DD(+)、DS(+)/DD(+)群に分類し、追跡期間中の総死亡との関連をコックス比例ハザードモデルを用いて解析した。多変量調整コックスハザードモデルにおいて、DS (-)/DD (-)群と比較した場合、DS(+)/DD(-)、DS(-)/DD(+)、DS(+)/DD(+)群の総死亡に関わるハザード比は1.34 (95%CI, 0.99–1.86; p = 0.056), 1.96 (95%CI, 1.10–3.50; p = 0.023), and 1.71 (95%CI, 1.06–2.77; p = 0.029)でありDSとDDは各々統計学的有意に総死亡と関連していたが、DSとDDの間で統計学的に有意な交互作用は認めなかった。
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