研究課題/領域番号 |
19K10498
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
蒲地 正幸 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (90204643)
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研究分担者 |
二瓶 俊一 産業医科大学, 大学病院, 講師 (40441828)
盛武 敬 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 准教授 (50450432)
石垣 陽 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特任准教授 (50723350)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 水晶体被ばく / 線量測定 / 半導体検出器 / 放射線防護教育 / 放射線リスクビューア / 放射線業務従事者 / 放射線診療 |
研究実績の概要 |
国際放射線防護委員会(ICRP)が白内障のしきい値を0.5Gyへと大幅に引き下げる声明(ソウル声明,2011年)を出したのを受け、我が国でも放射線業務従事者の水晶体被ばく線量管理が喫緊の課題になっている。分担研究者である二瓶らの先行研究の成果から、CT介助作業者の水晶体入射線量は防護眼鏡未使用時(中央値0.228mGy/検査)、防護眼鏡使用時(中央値0.114mGy/検査)の測定結果が報告されている。このデータは、最も高いと思われていたIVR術者の約1.5倍と推計された。また、透視下で行うミエログラフィー検査においては、術者の違い(経験年数、方法)から同一の検査においても線量が異なる事態が発生した。 そこで本研究では具体的に、放射線業務従事者の被ばく線量をリアルタイムに測定できる半導体検出器とウェアラブルカメラを組み合わせリアルタイムに行動と被ばく線量を観察できるシステム構築し、これを用いて診断CT検査時の患者介助者の被ばく線量実態調査やミエログラフィーや心臓血管造影検査など、医療従事者の被ばく線量が高いと考えられる検査を対象に、作業の可視化を実践し、医療従事者の行動改善を促すことにより放射線業務従事者の被ばくの低減効果を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放射線リスクビューアの試作品開発 放射線リスクビューアシステムは放射線防護眼鏡(Panorama shield :Ultra-light 0.07mmPb、東レ)にウエアラブルカメラを取り付け、半導体検出器(RaySafe i2、東洋メディック)を用いてリアルタイム線量測定行うことで、得られた動画データと時間軸を持った被ばく線量データを同期することによって医療従事者の行動と被ばく線量を検証するシステムである。 本研究で用いたウエアラブルカメラは、長時間の録画が行えるバッテリー容量を有し、画質も従事者の行動解析を実施できる画質が担保されていた。また、半導体検出器も、我々が求める測定能力を有していた。しかしながら、解決しなければならない問題点として、動画データと被ばく線量データを同期する際に何らかの理由により、これらのデータに時間的なズレが生ずることが確認されている。今後、この問題点を解決するために改良を行う。 また、放射線診療は長時間におよぶため、測定者の負担を少なくするため放射線リスクビューアの軽量化を試みる。
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今後の研究の推進方策 |
放射線リスクビューアの開発を進める。動画データと線量データの時間的なズレの問題を解決するため、半導体検出器特有の時定数を考慮した方法を用いてプログラムを作成する。さらに、長時間の作業でも測定者に負担がかからないようにシステムの軽量化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
放射線業務従事者の放射線診療中の被ばく線量に関する研究を行っている研究者は極めて限られるため、初年度は主に調査・情報収集および学外研究者との情報交換の目的で、国内および国外にのべ数回出張する予定であったが、国内で開催された学会にて多くの情報収集を行うことできたため、複数の参加予定であった国際学会に参加を行わなかったために当該助成金が発生した。 放射線リスクビューアの開発を続ける費用に当てる。開発した放射線リスクビューアはプロトタイプであり完成には解決しなければならない問題があるため、分担研究者や臨床現場の意見を参考に開発を続けて行く費用に使用する
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