研究課題/領域番号 |
19K10513
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
濱井 妙子 静岡県立大学, 看護学部, 講師 (50295565)
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研究分担者 |
大野 直子 順天堂大学, 国際教養学部, 准教授 (90730367)
西川 浩昭 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (30208160)
永田 文子 淑徳大学, 看護栄養学部, 准教授 (30315858)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医療通訳 / 通訳の正確性 / 患者アウトカム / 医療通訳の質 / 医療安全 / リスクマネジメント / 外国人診療 / 医療コミュニケーション |
研究実績の概要 |
令和4年度は、通訳者が介在した診療場面を録音して通訳の正確性や臨床上重大な影響を及ぼす可能性のある通訳に関する文献レビューを行い、臨床現場における通訳者が元の発言(原発言)を変更して通訳した通訳変更の分類法を再検討した。通訳変更の分類は「通訳変更なし(正確な通訳)」「通訳変更あり」「原発言にない補足説明」に分類し、「通訳変更あり」は臨床的に「ネガティブ」と「ポジティブ」に分類し、それぞれ「省略」「言い足し」「言い換え」「自発的発言」の4種類ずつに細分類した。この分類法に基づき、2020年に収集した院内通訳が介在した診療48件と、2019年と2020年に収集したアドホック通訳者介在の診療13件について通訳変更の種類と発生頻度について再分析を行った。さらに、正確な通訳と対象者の満足度の関連を分析した。その結果、院内通訳者介在診療の総セグメント数(逐語通訳をしたセグメント)は3,234で、100セグメントあたりの平均発生頻度と標準偏差は、「通訳変更なし」が49.5±13.2、「ネガティブ」は48.0±18.9、「ポジティブ」は20.5±7.8であった。アドホック通訳者介在の診療の総セグメント数は725セグメントで、100セグメントあたりの平均発生頻度と標準偏差は、「通訳変更なし」が15.3±12.2、「ネガティブ通訳変更」は105.1±31.5、「ポジティブ通訳変更」は12.5±11.8であった。「通訳変更なし」と患者ならびに通訳者の満足度(5項目・5段階尺度・総合得点)には関連はなく、医師の満足度のみに関連が認められた。さらに、院内通訳者とアドホック通訳者の2群において、患者ならび通訳者の満足度の平均値には差がなく、医師の満足度のみ平均値に差が認められた(4.5 vs 3.9, p=0.004)。文献レビューは今秋発行巻の学術誌に総説論文として掲載予定である。
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