日本の審査報告書が入手可能な平成13年4月1日から令和2年3月31日までの間に日本において承認された医療機器のうち、米国においても承認された医療機器を本研究の対象とした。デバイスラグは、申請ラグ(日本における申請日と米国における申請日の差)と審査ラグ(日本の審査期間と米国の審査期間の差)の和と定義した。対象品目を平成25年3月31日以前の国内承認(前期承認)品目とそれ以降の国内承認(後期承認)品目に分類して、申請ラグおよび審査ラグの変化を評価した。以上の情報は、医薬品医療機器総合機構、公益財団法人医療機器センターおよび米国食品医薬品局のホームページ、審査報告書および添付文書から抽出した。デバイスラグおよび審査ラグは前期承認品目に比し、後期承認で短かった。しかし、申請ラグは前期承認品目と後期承認品目で有意な差はなかった。優先審査品目の国内審査期間は非優先審査品目よりも短かった。申請ラグの正の規定因子は510K品目であり、負の規定因子は国際共同治験であった。審査ラグの正の規定因子は501K品目であった。本研究結果より、デバイスラグは改善傾向にはあるが解消には至っていないことが明らかとなった。さらに、国際共同治験により申請ラグは短縮され、優先審査品目の国内審査時間も短縮されていたが、510K品目に代表される比較的リスクの低い医療機器が申請ラグおよび審査ラグの要因であることが示された。デバイスラグの解消に向けて、国際共同治験の促進および低リスク品目の国内早期申請の促進と審査迅速化対策が急務と考えられた。
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