研究課題/領域番号 |
19K10516
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研究機関 | 福知山公立大学 |
研究代表者 |
佐藤 恵 福知山公立大学, 地域経営学部, 准教授 (90436460)
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研究分担者 |
佐野 雅隆 千葉工業大学, 社会システム科学部, 准教授 (50580221)
香川 璃奈 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10824675)
中橋 望 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (30774088)
林 亜紀 福知山公立大学, 地域経営学部, 客員准教授 (00381632)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | SS-MIX2データの分析 / 電子カルテデータの共有 / 傷病名の評価 |
研究実績の概要 |
COVID-19感染症が2類に設定され続けたため,データ収集はほとんど進まなかった.特に,研究計画作成時に,データ取得協力の約束をとり続けていた病院グループの経営陣や実務の担当者が交代したため,新たな協力病院獲得に時間を費やした. 一方,旧国立病院の1つからデータ提供を受けることができた.依然として出来高払い制度の病院であることから,当初予定してDPC/PDPS参加病院からのデータとの比較対象として大変有意義だと期待できる. 本年度は,次の3つを進めることができた. 1つは,作業環境の改善である.データのブラウザは,ほぼ完成させられた.次の段階として,web上での作業を可能とするツールの開発を進めた.これは,複数の作業者が同時に作業できるようにするものである.作業の進捗速度の向上が期待される. 2つめは,SS-MIX2形式の電子カルテデータの獲得と正規化である.データ交換規約は標準化されている.しかし,自由記述テキストに,個人情報が多量に記されていることがわかった.直ちに作業対象にすることはできないため.データを目視でマスキングする作業を進めた.これは,機械的なマスキング作業後に実施された. 3つめは,入手できたデータの処理である.分担研究者が,それぞれ独立して得られた電子カルテデータをもとに,診断し,傷病名化した.その際の規制用語集は,傷病名マスターと修飾語マスターであった.本作業は,いわばpeer-reviewの準備段階である.1回目の相互評価のための作業にとりかかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19感染症は,データ取得にとって著しい障壁となっており,その状況はほとんど改善しなかった.協力を取り付けていた病院グループの所属病院は準公立病院であり,そのほとんどが地域の中核施設であったため,感染状況の影響を直接受けた. さらに,承諾をとりつけた際の担当者が,経営陣と実務者の両レベルで移動となり,新たな信頼関係を構築しなければならなくった.現状では,同グループからのデータ獲得は難しいとあきらめざるを得ない. SS-MIX2データの個人情報保護に関する問題点も明らかとなった.交換規約としては認められており,データ共有に問題はないと想定されていた.本研究計画の基盤技術の1つとして想定されていた.しかし実際には,自由入力されたテキスト中に多くの個人情報が含まれていることがわかった.自由入力されているため,機械的なマスキングには限界があり,手作業を余儀なくされた.
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今後の研究の推進方策 |
対象データの性質上,協力病院はおいそれとみつからないと考えざるを得ない.しかし,COVID-19感染症が5類感染症に移行されたため,データ取得の最大の障壁が無くなったと歓迎している.新たな協力病院獲得に努め,データ取得にとりかかりたい. 分析作業の促進のための方策も考えられている.当初は,SS-MIX2データのブラウザを開発し,それぞれの環境に移植しての作業が想定されていた.そのツールはほぼ完成した.しかし,実際の作業を通じて,オンライン上での作業環境の確保がより適切であることがわかった.当該ツールの開発にも着手している.完成後は,作業の効率化が期待される. SS-MIX2データの個人情報のマスキングに関する知識の蓄積も進める予定である.自由入力ではあっても,可能な限り機械的な作業がのぞまれる.そのための分析も行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染症の状況が改善せず,研究計画に依然として遅れが発生したためである. 新たな協力病院を開拓し,データ取得がかなったが,それも1病院に過ぎない.次年度以降に研究を延長せざるを得ず,必然的に予算に残額が生じた. COVID-19の感染状況の改善にしたがい,研究の本格的な再開をのぞめる.作業の進捗に伴い,研究費を利用する予定である.
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