研究課題/領域番号 |
19K10521
|
研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
戸田 春男 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10217507)
|
研究分担者 |
谷 佳子 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (10796064) [辞退]
生方 北斗 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助手 (50795127)
木下 直彦 新潟医療福祉大学, 医療経営管理学部, 准教授 (50734232)
森田 邦恵 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (90396440)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ストレス / 心拍変動 / 眼科検査 / 医学教育 |
研究実績の概要 |
残念ながら、予期せぬCOVID-19の蔓延によって、学生の入構禁止と実習スケジュールの大幅な変更を余儀なくされたため、当初計画していた実験の大幅な遅延が生じた。しかしながら実験機器および実験プロトコルの整備を終え、これまでのところ25名の実習生(被験者)からGoldmann視野計検査中の生理学・生化学的記録実験、アンケート調査、同検査の経過に関する聞き取り調査、安静時心電図の記録を終えた。 それらの結果、同検査にともなう実習生のストレスは全体としては軽度である一方、短期的に変動する一部のストレス指標については有意な変化を認めた。ここまでの生物学的な側面の研究結果について、現在データのとりまとめがほぼ終了し、目下論文執筆中である。 このことから今回採用した研究方針(高い時間分解能をもつ自律神経機能測定法によるストレスの評価)の有効性が示された。また、短期的なストレス指標の変動は機械学習に適した高次元の(独立した項目数の多い)データを与えるので、本研究の目的である、機械学習による学生の弱点の自動推定が実現する可能性が高まった。 機械学習には研究計画通りの被験者数が要求されるため、今後ともCOVID-19対策の合間を縫って実験を積み重ね、また心拍変動以上に時間分解能の高い自律神経機能評価法、例えば瞳孔径、皮膚電気活動、指尖容積脈波計測の導入によって生物学的なデータをより頑健なものにしたいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
残念ながら2020年から現在に至るまで、COVID-19蔓延による学生の入構制限が続き、また学生実習のスケジュールの大幅な変更に伴う実習室および実習機器の競合が発生した。それらのため予定した規模の実験が行えなかったものの、実験機器および実験プロトコルの整備を終え、これまでのところ25名の実習生(被験者)からGoldmann視野計検査中の心電図RR間隔の測定、同検査前後の血液生化学的検査、同検査前後のアンケート調査、同検査の経過に関するレトロスペクティヴな個人別聞き取り調査、安静時心電図の記録を終えた。 それらの結果、同検査にともなう実習生のストレスは全体としては軽度であり、これまでの教育・実習の方法に大きな問題がないことが示された。しかしながら、一部のストレス指標については有意な変化を認め、それらは主に検査の各側面に関わる短期的なものであった。このことから今回採用した研究方針(高い時間分解能をもつ自律神経機能測定法によるストレスの評価)の有効性が示された。以上得られた生理学的・生化学的な結果について現在論文執筆中である。実験機器の整備の中の同時多チャネル心電図記録に関わるノウハウはすでに卒業論文の形でまとめた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究の結果、眼科検査実習によって有意に変化したストレス指標は、主に検査の各側面に関わる短期的なものであると考えられた。この点から心拍変動以上に時間分解能の高い自律神経機能評価法の必要性が感じられ、その候補として瞳孔径のリアルタイム記録、皮膚電位ないし皮膚インピーダンス、指尖容積脈波を考えている。現在Arduinoマイコンを用いた予備的な記録系を設計しているところである。 機械学習を基にした実習生の分類は現在進行中であり、生物学的評価よりも多数のデータを要求するため、引き続き記録実験を続ける必要がある。検査の時間経過に伴う短期的なストレス指標の変化が捉えられていることから、十分な記録実験を行えば、実習生の弱点をアンケートから推定するという本研究の目的が達成される可能性は高いと考える。
|
次年度使用額が生じた理由 |
継続実験用の電極・試薬・謝金に加え、皮膚電気活動・指尖容積脈波記録系の設計製作、論文校閲および投稿用に繰越す必要があったため。
|