研究課題/領域番号 |
19K10523
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
阿部 哲也 関西医科大学, 医学部, 准教授 (20411506)
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研究分担者 |
西山 順滋 関西医科大学, 医学部, 講師 (60368248)
串田 秀也 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70214947)
川島 理恵 京都産業大学, 国際関係学部, 教授 (00706822)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 会話分析 / 心拍変動 / 共感 / 医療面接 |
研究実績の概要 |
Interpersonal physiological synchronyは、社会的な相互行為の場面における複数の当事者間で生じる生理指標の同期のことである。自律神経機能の同期は、治療者・患者関係での共感反応との関連が指摘されており、本研究では実際の診療場面でのデータを元に、その解明を目指す。 心療内科での診療場面の録画記録は23例となったが、そのうち医師・患者双方の心拍変動が十分に計測できたのは15例である。2023年度は、そのうち6例を特に詳細に分析した。心拍変動は、心電図R-R間隔の周波数解析を行い、副交感神経機能の指標として活用されている高周波(HF)成分を算出し、観察した。HF成分の同期性の有無は、相互相関分析を用いて評価した。 患者が身体的・心理的負担を語る場面に対して、医師が視線、姿勢、手の動きなどと共にその語りへの了承を言語的に示す場面に一致して、両者のHF成分が必ずしも同期性を示すわけではなかった。会話分析で評価した共感的応答の不十分さとHF成分の同期性の有無との関連は、明らかではなかった。 実臨床場面での医師による共感的応答は、医療面接スキルとして患者に提示される場面もある。また、患者による負担の語りが新規内容であるか否かは、医師の情動変化の程度に大きく影響を及ぼすはずである。そのため、診療場面における医師と患者の心拍変動の同期性は、医師による適切な共感的応答の場面で必ずしも出現しているわけではないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内の研究者と十分に意見交換を行うことができたためと考える。
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今後の研究の推進方策 |
現行の方法で、継続実施可能であると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
引き続き、国内外の学会への現地参加が少なくなっていたためである。 現状での学会参加頻度で、助成金を使用していく予定である。
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