研究課題/領域番号 |
19K10524
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研究機関 | 滋慶医療科学大学院大学 |
研究代表者 |
川越 栄子 滋慶医療科学大学院大学, 医療管理学研究科, 客員教授 (80285361)
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研究分担者 |
古川 裕 地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(第1診療部、第2診療部、第3診療部, 中央市民病院, 部長 (60359833)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ESP / 英語教育プログラム / 医学生 / 研修医 / 国際学会発表 / USMLE / 英語問診 / 英語診察 |
研究実績の概要 |
医学生・医師のための2種類の英語教材・教育プログラムを開発した。 1)昨年度は、国際学会発表を希望する阪大医学科学生対象に「ベルリッツ医学英会話講座」を実施した。今年度は、神戸市立医療センター中央市民病院(厚生労働省臨床研修指定病院)の研修医・専攻医を対象に、国際学会で発表する可能性が学生よりも高いグループを対象とした。研究分担者古川は、同病院の部長であり研修医(東大、京大、阪大、神大、北大等の医学科卒業生が研修中)指導責任者として国際学会発表の指導にあたっているので、古川の指導する医師を主に対象者とした。5日間のレッスン後のアンケート調査では当講座の評価は大変高かった。一方自分のスピーキング能力の低さを改めて認識した医師もいた。
2)医学生から要望のあったUSMLE(United States Medical Licensing Examination) 受験のための講座を実施した。これはアメリカ国内で医師資格を取得するために合格する必要がある試験だが、その他の国の医学部在学生・卒業生にも開かれている。アメリカへの臨床留学の必要要件にもなっている。STEP1、STEP2(CK・CS)、STEP3の3段階の形式で構成されているが、今回の講座はSTEP2CS(Clinical Skills:模擬患者役から、問診、診察、診断等を英語で行う)を受験するための基礎講座として実施した。5日間のレッスン後のアンケート調査では当講座の評価は大変高かった。 本年度取り組んだ2種類の英語教材・教育プログラムは、国際学会で発表、および留学する医師・医学生の数を増やすことに貢献できると確信している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1)医師の希望者(研修医5名、専攻医5名)に対して5日間のレッスンを行った。ベルリッツに内容をあらかじめ依頼し、指導を外国人講師に委託した。オンライン講座形式をとった。発表の構成(Opening, Body, Closing)のそれぞれのセクションでよく使う表現を提示した後、英語発表に挑戦してもらった。受講後、全員が「大変ためになった」「ためになった」という評価であったが。国際学会発表へのモチベーションは「よく勉強になり高まった」とする一方英語のできなさに落胆しモチベーションが高まらなかった医師もいた。当初計画になかった研修医・専攻医も対象にした事で、当初の計画以上に進展した。 2)大阪大学医学部医学科学生の希望者5名に対して5日間のレッスンを行った。ベルリッツに内容をあらかじめ依頼し、指導を外国人講師に委託した。オンライン講座形式をとった。講座内容は次のとおりである。 1日目 Understanding, clarifying and explaining patient concerns/Role plays/ Softening the tone for challenging questions and answers / Role plays 2日目 Handling special patients / Feelings/Self-and peer-assessments for USMLE preparation / Mini-cases 3日目~5日目 Practice cases 受講後、全員が「大変ためになった」「英語で診療するモチベーションが高まった」「USMLEを受験するモチベーションが高まった」という評価であった。今年度の2種類の取り組みは、大変有益であり、将来グローバルに活躍できる医師を育てることに貢献できることは間違いない。
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今後の研究の推進方策 |
1)来年度以降も、「国際学会模擬練習講座」「USMLE(United States Medical Licensing Examination) 講座」を今年度の講座を発展させ精度を上げて行う。
2)今年度の2種類の取り組みで判明した事であるが「自分の英語力の足りなさに気づいた」という意見が多い。これは、特にスピーキングの問題である。全国トップクラスの医師・医学生でありながらこのような問題があるのは、英語教育の問題であり英語教員として責任を感じている。来年度は、このスピーキングの機会を出来るだけ提供し、スピーキング力を高めるためのプログラムを開発する予定である。
3)来年度もCovid19感染状況により遠隔教育が引き続き必要になる見込みである。1)2)を実施するための遠隔教育を検討し、実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
中間成果報告および情報収集のため国内外の学会に参加する計画であったが、Covid19感染状況により、中止またはオンライン開催になった。そのため旅費を全く使用しなかった。
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