本研究では平成28年熊本地震の避難所から救急搬送された患者の健康被害の要因について検討した。患者データは熊本市消防局の救急搬送記録および医療機関の診療録から入手した。避難所の生活環境は救急医療情報システム(EMIS)から入手した。発災後の急性期に多数の被災者が搬送されており、60歳以上の高齢者や既往症のある患者が多かった。救急搬送の理由は、転倒と呼吸困難が最も多く、次いで発熱、意識障害、腹痛の順であった。避難所の生活環境ではスペースの不足、医療や食料の提供に問題があることが判明した。避難所での健康被害を防止するためには災害発生初期から適切な生活環境と医療を提供することが重要と考えられた。
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