研究課題/領域番号 |
19K10541
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
秋山 美紀 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (50439254)
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研究分担者 |
加藤 美生 帝京大学, 公私立大学の部局等, 助教 (70769984)
奥原 剛 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70770030)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 研究成果 / 広報 / プレスリリース / 報道 / メディア / 医学系大学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、大学等の研究機関から一般社会への研究成果の発信の現状を把握するとともに、広く報道され伝わるための方策を検討することであり、①医師養成課程を有する82の大学等教育研究機関にプレスリリース発信数等に関する質問紙調査、②特に発信数の多かった上位5校にインタビュー調査。さらに、メディアの側はどのようにプレスリリースを受け取り、報道に至る採択の判断をしているかを探索するために③在京の報道関係者8名にインタビューを行ってきた。 特に配信数が多い大学は、研究内容をわかりやすく正確に伝える工夫加えて、配信のタイミングも工夫しており、研究者とメディアをつなぐ広報専従者を置くなど組織体制も充実していた。タイトルは中身を読むかどうかを決める最初の重要なポイントであり工夫がされている一方で、言いすぎたり誤解につながらないよう、特に患者を含む読者が過剰な期待をするような行き過ぎた表現にならないよう配慮されていた。図や写真はすべての大学が積極的に配置していた。プロのデザイナー集団がグラフィックを制作している大学や、科学イラストを作るための案内をテンプレートに入れマニュアルに組み込み、専門のイラストレーターに描いてもらったものを掲載している大学もあった。広報やURAが用意したテンプレートやフォーマットを用いて研究者自身がベースとなる最初の文章を書き、配信前にメディアとの間に立つ広報が最終的な調整と確認をしていた。一方メディア記者のインタビューからは、内容のわかりやすさや正確性に加えて、自媒体の読者のニーズに合致している内容かどうかが、報道の判断の決め手になっていることが示唆された。 これらの成果を踏まえ、2022年度は、医学サイエンスコミュニケーション学会のシンポジウムで発表を行い、総説を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度に全ての研究の終了を予定していたが、報道内容のリーダビリティの測定などの質的調査がまだ残されている。一方で、本研究成果の論文投稿は総説1本が採録となったが、英文論文が投稿中であり、採録には至っていない。総合すると当初の予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、以下の3点を重点的に推進する予定である。 ■プレスリリースのわかりやすさとリーダビリティに関する研究:リーダビリティ測定ツールを使って、プレスリリースのわかりやすさ、読みやすさについて、 要件を整理する。
■英文論文の投稿:既に投稿済みの論文が掲載されるよう、研究成果を追加してブラッシュアップする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響は少しずつ収まってきたものの、もともと対面で予定していたインタビュー等が遠隔オンラインとなり、予定していた旅費の支出がなかった。また研究補助者がなかなか見つからず、退職したことから人件費も予定より少ない支出となった。次年度は、予定している研究であるSNS解析や論文投稿の費用として支出する予定である。
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