研究課題/領域番号 |
19K10543
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
竹下 啓 東海大学, 医学部, 教授 (10276248)
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研究分担者 |
三浦 靖彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40181854)
長尾 式子 北里大学, 看護学部, 准教授 (40396700)
堂囿 俊彦 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (90396705)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 倫理コンサルテーション / 倫理支援 / 在宅医療 / 訪問看護 / 介護施設 |
研究実績の概要 |
本研究は、地域の医療・ケア提供者が直面している倫理的問題を明らかにし、さらに、地域の在宅訪問サービス事業者や介護施設に倫理コンサルテーションを提供する実証研究を行うことを通じて、地域で生じる倫理的課題に対して有効に機能する倫理コンサルテーションのモデルを構築することを目的としている。 2年目にあたる本年度は、まず、1年目に実施した在宅訪問サービス及び介護保険施設で医療・ケアに携わる医師、看護師、介護支援専門員を対象としたフォーカ スグループインタビューを行った結果について、詳細な質的分析を行った。本研究については、現在論文を執筆中である。また、日本在宅医療連合学会の協力をいただき、同学会会員の医師と看護師を対象に、在宅医療・ケアにおいて経験している倫理的問題やその解決方法、倫理支援に対する期待についてのWEBによる質問紙調査を実施し、合計205名から回答を得られた。経験されている倫理的問題としては、「患者の意思決定能力が低下しているなどして患者の意向が不明である」、「患者の意向と家族等の意向が一致しない」、「患者以外の家族等の中で意向が一致しない」、「最善と考えられる方針が家庭内の介護者いないことによって実施できない」などの頻度が高いことが判明した。また、倫理支援の形式として、「地域における多職種のカンファレンス」への期待が高いことが明らかになった。 これらの調査研究に並行して、地域における倫理コンサルテーションのフィールドワークとして、地域に開かれた倫理カンファレンスをWEBで継続し、在宅及び介護施設における医療・ケアに携わる人たちとの情報共有や、実際に地域の医療・ケア従事者が経験した事例について倫理カンファレンスを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19パンデミックにより、対面でのインタビュー調査やオンサイトでの倫理カンファレンスの開催が困難となり、オンラインでの実施体制の構築に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
在宅療養支援診療所の医師や訪問看護ステーションの看護師以外に、居宅介護支援事業所、介護保険施設における医師、看護師、介護支援専門員を対象とした質問紙調査を実施する。地域で直面している倫理的問題を横断的に明らかにするだけでなく、サービスの類型や職種ごとの差異を検討する。。 地域における倫理コンサルテーションや倫理カンファレンスの開催実績と質問紙調査の結果を踏まえて、全国において実施可能な倫理支援のシステムの構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた在宅医療・ケアに関わる医師と看護師に対する全国調査を、日本在宅医療連合学会の協力によりWEBで開催できたこと、Covid-19パンデミックにより対面による打ち合わせや学会出張ができず旅費等の支出が乏しかったことから、次年度使用額が生じた。来年度以降の質問紙調査やパンデミック収束後の旅費等に充当する予定である。
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