研究課題/領域番号 |
19K10547
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
江原 朗 広島国際大学, 健康科学部, 教授 (30507215)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 病児保育 / 偏在 / 人口規模 / 市町村財政 / 子育て支援 / 感染症 |
研究実績の概要 |
(1)保育所の多くは,子どもに微熱などの軽い症状があった場合には登園を認めていません。こうした子どものために病児対応型保育施設があるものの,都市部に偏在しています。しかし、小規模な市町村の一部は,他の市町村と提携して、こうした保育を住民に提供しています。自治体間連携の有無を決定する要因は不明ですが、市町村間の距離がその要因の1つになっている可能性があります。そこで,病児対応型保育施設がない市町村から最寄りのこうした施設がある市町村までの距離を計算しました。距離の中央値は、自治体間連携がある場合(8.4km)とない場合(16.2km)で差が見られました(p<0.001)。近隣の都市に病児対応型保育施設がないと自治体間連携は成立しないことが示唆されました。この結果は、江原朗.日本医師会雑誌 2022;150(12):2213-2218で発表しました。 (2)近隣の市町村と連携し、住民に病児対応型保育を提供している自治体の特徴は地理的な因子に限られるわけではありません。病児対応型保育の地域間連携においても、自治体の財政状況や一般保育所の在所者数などの人口動態的な因子が関与しているかどうかを多変量解析により明らかにしました。この結果、地域差はあるものの、保育所のある最寄りの自治体への近接性が自治体間協力の有無と強い関連性を示すことが判明しましたが、財政的な指標や人口動態的な因子は地域連携の有無に関連が見られませんでした。解析結果は、PLoS Oneに投稿し、現在査読を受けております。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)令和3年度は自治体内の病児対応型保育施設の有無だけではなく、近隣の自治体との連携を主に解析することができました。 2)広域連携による解析結果が、当該自治体内に病児対応型保育施設の有無を解析した際の結果と矛盾がなく、おおよそ予想の範囲内の結果を得られました。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍により、学術集会等での発表ができておりません。令和4年度は最終年度となりますので、遠隔参加であっても、日本の病児対応型保育の現状を海外の学会で発表したいと思っております。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により、学術集会等に参加して議論する機会が減少しました。この結果、研究成果の発表が論文発表を主体とすることになりました。令和4年度に1年間延長された会計年度では、論文執筆とともに海外も含めた学術集会での発表を計画しています。
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