研究課題/領域番号 |
19K10551
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
長岡 広香 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40790978)
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研究分担者 |
森田 達也 聖隷クリストファー大学, 看護学研究科, 臨床教授 (70513000)
浜野 淳 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10709190)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 在宅医療 |
研究実績の概要 |
全国60施設を対象として2020年1月~12月まで多施設共同前向き観察研究を実施し、37施設から780名が登録された。登録患者のうち、2022年2月28日時点で、調査票が確認できた701名を解析対象とした。解析対象者は、女性423名(60.3%)、平均年齢は、85.6±8.8歳であった。530名(75.6%)が自宅での訪問診療を開始し、訪問診療を必要とする疾患・病態は、認知症(208名、29.7%)、心疾患(98名、14.0%)、脳血管障害(85名、12.1%)などであった。訪問開始時の症状として、「中くらいあり・とてもあり・耐えられないくらいあり」の頻度が多かったのは、動きにくさ(390名、55.6%)、倦怠感(154名、22.0%)、食欲不振(138名、19.7%)などであった。12か月間の観察期間中に、在宅療養を中止した患者は、240名(34.2%)、在宅で看取った患者は、149名(21.3%)であった。訪問開始時と比較して、在宅療養中止時に、有意に「中くらいあり・とてもあり・耐えられないくらいあり」の頻度が増加した症状は、痛み、呼吸困難、倦怠感などであり、看取り時には、呼吸困難、食欲不振、眠気であった。約半数の患者が12か月以内に在宅療養を中止、もしくは、在宅で亡くなっていることが示された。初回訪問時には、動きにくさ、倦怠感などが日常生活に支障を与えている割合が大きく、初回訪問時に比べると、在宅療養中止時、もしくは、看取り時には、呼吸困難など複数の身体症状が有意に増加する可能性が示唆された。非がん在宅高齢者は、動きにくさ、倦怠感などの症状が日常生活に支障を与えている頻度が多く、在宅療養を中止、もしくは、在宅で亡くなる患者においては、呼吸困難が日常生活に支障を与えることが多いことが示唆され、がん患者とは異なる苦痛や身体症状があることが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染拡大の影響で、当初、参加予定だった60施設のうち、23施設が参加を辞退することとなったため、目標登録数を満たせなかった。そのため、補足的なデータ収集が必要と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
集計途中であるデータを追加し、最終的な解析を行い補足的なデータの必要性について検討し、計画・実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染のまん延によって研究計画が変更になり、次年度に繰り越す事案が生じたため、次年度使用額が生じた。繰り越した研究費は、次年度計画にそって使用していく予定である。
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