研究課題/領域番号 |
19K10553
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
湯地 晃一郎 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (70373199)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 人工知能 / 精密医療 / 国際的調和 |
研究実績の概要 |
人工知能の発展は著しいが、医療健康分野での利活用・社会実装における課題については十分な議論が進んでいない。国際比較に基づく国際的調和の議論は喫緊の課題である。 本研究では、医学健康分野に人工知能が実装された際の諸課題を国際比較し、一般社会への影響を検討することで、解決策のための基盤を国際的調和の観点から検討した。 初年度は医療行為を実施支援する人工知能について、医療法・薬事法の観点から、規制当局における医療機器該当性についての事例研究を実施した。 現行薬機法に基づく医療機器審査では、変化しない機能を有する機器を取り扱っているが、人工知能を利活用した深層学習により変化していくソフトウェアについて、今後どう評価・審査するのか、診断・治療などの決定に寄与するソフトウェアの精度管理をどう行うのか、リスクをどう評価するのか、得られた情報の根拠をどう意味づけ関係性をもたせるのか、について米国の事例を検討した。 米国では、米国食品医薬品局が診断・治療等を目的としたソフトウェアを、SaMD (Software as a Medical Device)と定義し規制対象とし、人工知能に基づく医療機器については「機械学習により自己学習するプログラム」と定義している。持続的にデータを収集分析・機械学習を行う人工知能においては、アルゴリズムは適応 (adaptive) し変化する。現在まで米国食品医薬品局は、固定されたアルゴリズムを有する医療機器のみ承認を行っており、変化するアルゴリズムを有する医療機器は認めていない。アルゴリズムが適応し変化する人工知能医療機器の規制についての新たな評価指標の定義、審査規制制度の枠組みの提案が提案されている。 今後、医薬品の国際的調和に準じた形で、GMLP (Good Machine Learning Practice)が、構築されることが見込まれる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる緊急事態宣言・活動制限・海外渡航制限により、初年度の国内外規制比較、国際的枠組みについての研究調査に遅延が生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる緊急事態宣言・活動制限・海外渡航制限により、研究調査に遅延が生じた。 今後活動制限の緩和に伴い、初年度の国内外規制比較、国際的枠組みについての研究調査を再開し、2年度以降の将来予測と問題点、解決策、国際的調和について検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスパンデミックの影響で海外調査等の研究実施が実施不可能となった。
|