研究課題/領域番号 |
19K10555
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
舟田 晃 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (20602626)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 院外心停止 / 心肺蘇生 / 高齢者 / 救急医療 / 医療倫理 / 事前指示 |
研究実績の概要 |
本研究では、総務省消防庁が集積している院外心停止全国前向き全例登録を用いて、高齢者院外心停止の予後を解析し、超高齢化社会であるわが国において、高齢者の蘇生処置不要の事前指示が救急現場で受け入れ可能になるように根拠を作成することを目的とする。本年度は以下の2点につき解析検討を行った。 ①バイスタンダーによる目撃の有無と救急隊反応時間(119番通報から救急隊による心肺蘇生開始までの時間)が除細動非適応波形の院外心停止例の神経学的転帰良好(CPC1-2)に及ぼす影響を検討した。救急隊による目撃例は除外した。CPC1-2の割合は、目撃ありPEA(A群)で2.42%、目撃あり心静止(B群)で0.40%、目撃なしPEA(C群)で1.51%、目撃なし心静止(D群)で0.08%であった。救急隊反応時間の1分間の延長は、A群で調整OR 0.95(95%CI 0.93-0.96)、B群で調整OR 0.91(95%CI 0.88-0.94)、D群で調整OR 0.96(95%CI 0.93-0.99)であり、CPC1-2の減少と関連を認めたが、C群では調整OR 1.00(95%CI 0.98-1.02)と関連を認めなかった。特にバイスタンダーによる目撃のある除細動非適応波形の院外心停止例において、救急隊反応時間の短縮がCPC1-2の改善に重要と考えられた。 ②バイスタンダー種別を考慮して、病院到着前Epinephrine投与が除細動非適応波形の院外心停止例の神経学的転帰良好に及ぼす付加的効果を検討した。結果、病院到着前Epinephrine投与は救急隊以外のバイスタンダーに目撃された院外心停止例において神経学的転帰良好と関連があった。しかしながら救急隊に目撃された院外心停止例では関連がなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画にそって研究を進めることができ、またその成果を国内外の学会で発表できたため、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
①高齢者院外心停止例において、蘇生処置と神経学的転帰(社会復帰、重篤な後遺症を有した生存、死亡)の関係を詳細に解析する。 ②高齢者院外心停止例において、蘇生処置後の社会復帰の可能性が限りなく低く、重篤な後遺症を有した生存の可能性が高いと判断できる発生状況、発見状況、蘇生処置経過時間を同定する。 ③超高齢化社会であるわが国において、高齢者の蘇生処置不要の事前指示が救急現場で受け入れ可能になるように根拠を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:効率的な予算の施行と参加予定であった学会の開催中止または延期により次年度使用額が生じた。 使用計画:消耗品とその他(論文投稿代金等)の一部に補充する予定である。
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