研究課題/領域番号 |
19K10556
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田辺 正樹 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (50456737)
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研究分担者 |
高橋 佳紀 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (70832517)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 抗菌薬適正使用 / 薬剤耐性 / 地域医療 / データベース |
研究実績の概要 |
薬剤耐性(AMR)対策の一環として抗菌薬適正使用の在り方を検討する上で、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)による各種活動の成果を、抗菌薬使用量や薬剤耐性菌の発生状況などの指標を用い評価すること、また、地域の中核病院における感染症関連データを集計・分析し、病院間比較や地域全体の感染症の動向を把握することが本研究の目的である。 (1)三重大学病院におけるAST活動の評価:当院では2018年8月から抗菌薬適正使用支援チーム(AST)の活動を開始しているが、AST導入前後1年間の静注用抗菌薬の使用量変化をDOT及びWHOが提唱しているAWaRe分類(Access:一般的な感染症の第一選択薬、Watch:耐性化が懸念されるため限られた適応に使うべき薬、Reserve:最後の手段として保存する薬)により評価を行った。またClostridioides difficile (CD)の検出率についても評価した。結果、静注用抗菌薬のDOTはAST導入前の27.92から導入後26.51に減少した。系統別ではカルバペネム系抗菌薬のDOTは5.77から4.97に、抗MRSA薬は3.16から2.21に減少した一方、抗緑膿菌活性のないペニシリン系薬は1.95から2.60に増加した。また、Accessの割合は病院全体で11%から13%に増加し、診療科別では統計学的有意に増加していた。一方、CDの検出率は20.3%から14.7%に減少していた。 (2)地域における抗菌薬使用動向の把握:三重地域圏統合型医療情報データベース(Mie-LIP DB)を用い、三重県内9病院の4年間の抗菌薬使用動向調査を行うため、分析方法を検討し、倫理委員会に提出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)三重大学病院におけるAST活動について、WHOが提唱しているAWaRe分類にて評価を行い、改善傾向にあることを確認できた。 (2)三重県内の中核病院における抗菌薬使用動向を「三重地域圏統合型医療情報データベース」を用いた調査の分析方法を検討し、倫理委員会の申請を行った。
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今後の研究の推進方策 |
(1)三重大学病院のAST活動の評価 三重大学病院におけるAST活動に伴う抗菌薬使用量や薬剤耐性菌の発生状況などの指標について引き続き分析を行うとともに、AST活動が患者予後に与える影響及び医療経済的効果の検討を進めていく。 (2)地域における抗菌薬使用動向の把握 倫理審査終了後、データ分析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
地域圏統合型医療情報データベースの分析について、本年度、倫理申請を行ったが、審査が終了していないため、来年度、データ分析可能となった段階で分析を行う予定。その際に必要なPC関連備品等や学会発表等に必要な旅費に充てることを計画している。
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