研究課題/領域番号 |
19K10558
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北村 温美 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60570356)
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研究分担者 |
中島 和江 大阪大学, 医学部附属病院, 教授 (00324781)
猪阪 善隆 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00379166)
徳永 あゆみ 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (60776409)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | PDカフェ / SNS |
研究実績の概要 |
本研究の目標は、各病院の患者ごとに地域の多職種が連携をとる従来の「サイロ型情報共有」のみでなく、サイロを越えて、同疾患の患者間や、特殊なケアを実施する同職種内での「Peer-to-peer型情報共有」のプラットフォームを構築することにより、医療への患者参加の促進と自律的な自己管理、より効率的で実効的なケア提供につながるか否かの検証を行うことである。 平成31年度は、主に腹膜透析患者間のpeer-to-peerな情報共有の場としてのPDカフェの普及に努め、国内外での発表により大きな反響を得た。また療法選択外来におけるPeer-to-peerな情報共有として実践してきたMeet-the-Expertについても報告、紹介した。PDカフェについて他施設からの見学を受け入れ、他施設へのアンケートを施行したところカフェ開催の意向は強いものの患者数の少なさや多様性に欠けることなどから開催が見合されている。現在、大阪大学猪阪のリーダーシップによりPD導入が府下で増加しており、また多施設合同での開催や、コロナ禍を受けてのオンライン患者会の可能性を検討している。 訪問看護間の連携については、コロナ感染の影響もあり、訪看カフェが実施できていないが、対面型のカフェに代わるものとして完全非公開型医療・介護連携SNSの活用を検討している。これは開業医と訪問看護等の地域包括ケアチームのメンバーが患者単位でグループを形成し、情報共有を行うためのツールであるが、ここに大学病院等の急性期治療を担当する医療者も加わること、また患者単位でなく職種単位での連携グループを作成すること、ゆくゆくは病院情報システムとの連携を目指すこと、を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
・PDカフェの普及について、他施設での実施が実現していない。その理由として、病院規模、患者数が様々であり、少人数では開催しづらいことがある。この点については、地域の近い病院間での合同開催を検討していたが、コロナ禍の中で、対面型ではなくオンライン上でP2Pを開催できないかを検討中である。小規模で開始し、高齢者やネット環境に関わらず開催できる手法を見出したいと考えている。 ・訪問看護間のカフェについても実施できていない。その理由としては、多施設のスタッフが集まることのできる曜日、時間が限られていること、またコロナによる対面開催への躊躇がある。これについては、医療・介護専用SNSの活用を検討している。これまで大学病院はあまり参画していなかったが、それが地域包括ケアの成功・不成功につながる大きな問題点であり、このネットワークに急性期病院が参画することで情報共有が進み、早期対応が可能となる。また同一疾患をあつかう職種間でのネットワークの場としても活用可能ではないかと考えており、検討を進める方針である。 ・医師間の情報共有プラットフォームとして、大阪CAPD研究会HPへの情報共有サイト構築を予定している。現在、業者によりシステム開発がなされ、コンテンツが完成次第、運用を開始できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
顔の見える連携が重要であることには変わりがないため、可能な限り対面型でのP2Pネットワークの構築を普及させるべく、関連病院を中心に働きかける。小規模病院には合同開催を打診する。また、非対面型の情報共有としてオンラインカフェを開催可能かどうか、小規模から実験予定である。 訪問看護、理学療法士をはじめ、地域包括ケアをになう多職種、および家族との情報共有としてSNSが活用されているが、ここに大学病院が参画することの意義、また患者単位から職種単位への活用方針のシフトを試みる。 医師向けの質問相談、情報共有サイトの運用開始を令和2年度中に実現する。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に医師間の情報共有のために構築予定であるWebページについて、既に他の助成金を用いて構築途上であったWebベースを利用可能であったため、新たな費用は発生しなかった。今年の改編に伴い、改造費用が発生すると思われる。また、SNS活用に係る費用等に充当する予定である。
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