研究課題/領域番号 |
19K10579
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
木村 達郎 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (50382049)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 人間ドック / 胸部X線検査 / 要精密検査 / 肺がん / リピーター |
研究実績の概要 |
我々は、MedCity21人間ドックにて呼び出しシステムと名付けた本格的に精度管理を行い受診勧告を行っています。胸部X線検査、胸部CT検査にて要精密検査と判定されれば附属クリニック外来に受診勧告するシステムです。 2018年から2021年まで1年間で、胸部X線検査を施行した健診者は、順に12540、13690、12070、13409人であり、胸部X線検査にて要精密検査は、順に2.7%(リピーター/初回受診 2.1/3.4%)、2.4%(1.8/3.2%)、2.4%(1.8/3.8%)、2.3%(1.5/4.0%)でした。COVID-19パンデミックに対応した緊急事態宣言とその後の医療体制の変化により、健診中止や人数制限、また、多くの人が健康診断の受診を控えたこと等、多大な影響を受けました。初回受診者は、順に45.0%、42.5%、32.1%、29.2%であり、COVID-19期間中(2020年、2021年)は、COVID-19以前(2018年、2019年)と比較して初回受診者が有意に減少しました(p=0.0454)。 まず、COVID-19以前の解析では、胸部X線検査における要精密検査は、リピーターは初回受診者に比べ有意に低いことがわかりました。また、胸部X線所見における結節影は、リピーターが初回受診者に比べ高い傾向にあることが示唆されています。以上より、同一施設をリピートすることが肺がんの除外診断に有用であり健診受診者のメリットになることを2020年第27回国際健診学会で報告、さらに、論文化しました。(Kimura T, et al. Health Prim Car. Volume 5: 1-5, 2021) また、COVID-19期間中において肺がんの発見比が低下したことを日本人間ドック学会にて報告しています。(木村達郎他 2021年第62回日本人間ドック学会学術大会)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19パンデミックに対応した緊急事態宣言とその後の医療体制の変化により健診中止や人数制限、また、多くの人が健康診断の受診を控えたこと等、多大な影響を受けました。 また、移動や人との接触を極力伴わないように努める。現場での滞在時間を極力減らすよう努める。基本的感染対策(毎朝検温、標準予防策、換気等)に努め、3つの密(密閉・密集・密接)を回避する。等の大学指針により、大学内での研究中止、在宅勤務推奨になり、実験室での研究ができる環境にありませんでした。また、普段使用していたハードディスクが突然動かなくなり、修理に時間がかかったことも一因です。
|
今後の研究の推進方策 |
リピーターによる肺がん発症症例において、老化因子、PlasmaFree DN、炎症性サイトカイン等の考えられるマーカーを測定し経年変化を観察します。胸部判定で要精密検査となり当院にてCT検査を施行した症例にはCOPD、肺気腫、肺線維症、膠原病肺なども含まれており、それらも併せて検討する予定です。これらによる肺がん発症リスクの評価、肺がん発症の予測、および、これらの疾患自身の予後予測も併せて検討する予定です。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19パンデミックに対応した緊急事態宣言とその後の医療体制の変化により大学指針が発令、それにより、大学内での研究中止、在宅勤務推奨になり、実験室での研究ができる環境にありませんでした。また、普段使用していたハードディスクが突然動かなくなり、修理に時間がかかったことも一因です。
|