研究実績の概要 |
高尿酸血症は痛風の危険因子というだけでなく、高血圧、糖尿病、慢性腎疾患の独立したリスク要因であり、心血管疾患等の危険因子とされてきている。尿酸値に影響を与える因子として、飲酒量、BMI、遺伝子型 (ADH1B, ALDH2)などが考えられる。そこで地域住民を対象として、尿酸値とそれに影響を与えるとされている因子との関連について検討した。対象者は健診を受診した地域住民1799人(男性785 人、女性1014 人)であった。飲酒量は男性を 4 グループ、女性を 3 グループ、BMI は男女ともに 3 グループ、遺伝子型(ADH1B, ALDH2)はそれぞれ男女ともに 3 グループに分けた。これらの因子と尿酸値との関連について、共分散分析を行った。また、飲酒量と高尿酸血症との関連についてはロジスティック解析を行った。男女とも飲酒量が多いほど、また BMIが高いほど尿酸値は高かった。 ADH1B の遺伝子型と尿酸値との関連については、男性では活性が低いグループでは尿酸値が低くなっていたが、女性では有意な差はみられなかった。ALDH2 の遺伝子型と尿酸値との関連については、男女とも有意な差がなく関連はみられなかった。飲酒量と高尿酸血症との関連について、男性では飲酒量の一番多いグループと飲酒量が0のグループとの間で、高度に有意な差がみられた。女性では、同様の有意差がみられたが、オッズ比の信頼区間が広いため慎重な解釈が必要である。
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