研究課題/領域番号 |
19K10587
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 智 神戸学院大学, 栄養学部, 講師 (30594428)
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研究分担者 |
岸本 満 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (20454449)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | カンピロバクター食中毒 / Direct-qPCR法 / Campylobacter jejuni / 迅速定量法 / サンプリング法 / 汚染実態調査 / リスクアセスメント / 交差汚染 |
研究実績の概要 |
細菌性食中毒のうちCampylobacter属菌が原因の事件や患者は最も多く報告されている。食中毒予防法を確立するためには、調理・消費段階におけるリスクアセスメント推進が必要である。 リスクアセスメントに必要なデータ取得のため、これまでに市販鶏肉に低菌量汚染しているCampylobacter属菌を迅速・簡便に定量的検出できるWrap処理とDirect-qPCR法を開発した。研究最終年度はWrap処理とDirect-qPCR法を発展させ、C.jejuni とC.coliを同時に検出・定量できる方法を開発した。 開発した方法を用いて標準菌で汚染した試料を測定した場合、検出率は100%だった。またCt値から推計した生菌数は、公定法で測定した生菌数と比較して0.22±0.20~0.29±0.17logCFUの差だった。このことから、開発したDirect-qPCR法は、高い検出率で公定法と同等の生菌数を推計可能だと分かった。 開発した方法で、殺菌剤である過酢酸製剤(PAA)の効果を数値化した。PAA浸漬の場合、濃度が高くなるほど生残率は低下し、減少数は増加する傾向がみられた(300ppm:生残率14.1%、減少数1.12logCFU)。また、PAA 50ppm浸漬の生残率及び減少数はNaClO 100ppmと同等だった。PAA 100ppm浸漬はNaClO 100ppmより生残率が低かったことから、PAA浸漬はNaClOより殺菌効果が高いことが分かった。 研究期間全体を通じて、カンピロバクター食中毒の主な原因菌であるC.jejuni とC.coliを同時に検出・定量できるmulti Direct-qPCR法を開発することができた。その手法を用い、市販鶏肉の汚染実態や、調理段階の交差汚染実態や消毒薬の効果を数値化し、リスクアセスメントに必要なデータを得ることができた。
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