研究課題/領域番号 |
19K10592
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
柿本 幸子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主幹研究員 (80291219)
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研究分担者 |
吉光 真人 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主幹研究員 (70321940)
藤原 拓也 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (70783819)
村野 晃一 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (50827277)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メチル水銀 / 土壌 / 固相抽出 |
研究実績の概要 |
土壌および底質試料中のメチル水銀を定量的に分析するための固相抽出法を開発した。分析法の妥当性確認を行い、一元配置分散分析で解析した結果、真度、室内精度、室間精度において高いバリデーション性能が得られた。本法の利点は、SPME などの装置が不要であること、精製工程に汎用固相抽出カートリッジを用いること、ベンゼンやトルエンなどの人体に有害な試薬を用いないクリーンな分析法であること、汎用機器である GC/MS 装置を使用することである。本法は前処理に9時間を要し,試料中の定量下限は7.5 ng/gと従来法よりやや高い値であった。しかし,本法の感度をさらに向上すれば、フィールドでの土壌試料のメチル水銀分析に有用であると考えられた。 開発した方法を用いて,GSJ地球化学標準試料JSD-1~4および環境認証標準物質No.33の合計5試料のメチル水銀濃度を求めた。JSD-4のメチル水銀濃度は64.1 ng/gであった。他の4試料ではメチル水銀は、定量下限未満であった。無機水銀の一部は、保管中に土壌や堆積物サンプルに残存する嫌気性細菌によってメチル水銀に変換される可能性があるため(Kodamatani et al.2017)、滅菌処理されていない試料ではメチル水銀濃度は変動しうる。No.33は滅菌のために高線量で照射処理がされているが,JSD-1-4はメーカーによる完全滅菌がされていないので,他の分析法ではメチル水銀濃度にばらつきがでる可能性がある。しかし、JSD-1~4と同じ製造元から入手した完全滅菌がされていないJLK-1およびJSO-1の濃度は,分析法のバリデーションで使用し、濃度が一定であったため、JSD-1~4の濃度も変動が小さいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に勤務先である研究所の統合があり、それに伴う作業により本研究を遂行する時間を十分に確保できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
土壌中無機水銀およびメチル水銀の土壌中の挙動を確認するためのモデル実験を行う。本法を応用し、夾雑物質が複雑である食品試料に対する固相抽出法を用いたメチル水銀分析法の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、無機水銀とメチル水銀のモデル実験を行う予定であり、試料および試薬の購入費用を見積もっていた。しかし、モデル実験を実施するまでに至らなかった。今年度の残額は、当初の目的に従って令和4年度に有効に活用する。
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