2022年度は院内外で70株のカルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)が報告され、ほぼ全ての株の分析が可能であった。協力医療機関は2019~2021年度よりもさらに増えて、より効率的にCRE株が収集できるようになった。分析しえたCREを、抗菌薬の感受性にもとづいて解析した結果、セフタジジムとセフォペラゾンナトリウム・スルバクタムナトリウムの二剤に対してともに耐性であった場合に、そのCREがカルバペネム系薬剤を不活化する酵素である酵素を産生する、カルバペネマ-ゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)である可能性が高いことを見出した。2019年から始めた本研究において収集され、分析しえたCREとしては、株数の多い順にK. aerogenes(80株)、Enterobacter cloacae(47株)、Klebsiella pneumonia(7株)、Escherichia coli(2株)の4菌種であった。カルバペネマ-ゼの産生性を遺伝子検査により分析したところ14株でCPEが確認され、内訳としては、E. cloacae(10例)、K. pneumoniae(2例)、E.coli(1例)という結果が得られた。遺伝子型は多くがIMP-1であった。本手法によってCREからCPEをスクリーニングした場合の精度は、感度100%、特異度46%という結果となり、本手法が有用であること検証された。すなわち、CREが検出された場合に2剤の抗菌薬に対する感受性試験の結果を評価することによって、78.6%の株をカルバペネマーゼ確認試験の対象外にできると考えられた。 本結果は非常に重要であり、現場の労力を削減して効率化を図ることのできる重要なスクリーニング手法として、論文化して投稿する準備中である。
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