研究課題/領域番号 |
19K10608
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
小林 果 三重大学, 医学系研究科, 講師 (70542091)
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研究分担者 |
小泉 昭夫 京都大学, 医学研究科, 名誉教授 (50124574)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | もやもや病 / RNF213 / 炎症 / ストレス負荷 / 遺伝子改変マウス / 動物モデル |
研究実績の概要 |
もやもや病は、頭蓋内内頚動脈終端部の狭窄と「もやもや血管」とよばれる異常血管網形成によって特徴づけられる脳血管疾患であり、日本をはじめ世界中で若年性脳卒中の主たる原因として知られている。我々はRNF213遺伝子をもやもや病の感受性遺伝子として同定した。RNF213の生理的およびもやもや病の病態に果たす役割の大部分が未解明であるが、RNF213変異(遺伝要因)に、炎症・感染等のストレス負荷(環境要因)が加わることが発症に関与する可能性を示唆されている。そこで本研究では、Rnf213遺伝子改変マウスおよび由来細胞に炎症関連物質を投与し脳血管を中心とした表現型および血管機能に関連する分子群の挙動を検討する。 本年度は、Poly(I:C)の2週間投与を行いマウスの観察を行ったが、顕著な健康状態の悪化や体重変化の差はRnf213 KOマウス、Rnf213 mutant knock-inのいずれでも認めなかった。現在、血管を中心とした病理組織学的な評価に着手している。内皮機能に重要な役割を果たすことが知られている分子群のうちCav-1、MMP9、ACE2発現量をqPCRおよびWestern blotting法で検討したが、各マウス間での明らかな差は認めなかった。また炎症・感染により小胞体ストレスが引き起こされることが知られていることから、昨年度樹立した遺伝子改変マウス由来培養細胞(MEF)を用いて、小胞体ストレスへの影響を検討した。その結果、Rnf213欠損が誘導試薬により引き起こされる小胞体ストレスを減弱することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炎症関連物質のRNF213遺伝子改変マウスへの長期投与実験を完了し、血管を中心にした病理学的解析や血管機能に関連する分子群の検討に着手している。またRnf213 KOマウス、Rnf213 mutant knock-in由来のMEFを用いた細胞モデル実験で新たに小胞体ストレス制御への関与を示唆する結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き今年度採取した長期投与マウスサンプルを用いて病理学的解析、未検討のターゲット分子の挙動を検討する。また併せて遺伝子改変マウス由来培養細胞(MEF)に炎症関連物質処理を行って細胞機能や関連分子群の発現変化、局在変化の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度の異動と2020年度からのCOVID-19流行による登校制限の影響で動物実験の進行が全体的に遅れたことが理由である。次年度使用額は当初計画を完了せるための実験費用として執行する計画である。
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